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目の前に、カップ一杯のカフェラテが置かれる。


「まだ怒ってんの?ごめんてば」
「思ってないですよね!?」
「思ってるよ」
「嘘だね顔が笑ってる!!」


ここまで気持ちのこもっていないお詫びをされたのは生まれて初めてである。
常備しているチョコレートを口に放り、先輩の入れてくれたカフェラテで溶かしながら飲み込む。


「……もう休憩時間だけど」
「キリいいとこまでやりたいんで」
「前から思ってたけど、高木は息抜き下手だよね」


こっちは集中しようとしているのに、いつまで喋るんだこいつは。休憩時間を雑談なんかでドブに捨てているのは先輩も同じではないか。
一言か二言か言ってやろうとも思ったのだが、私が休まなければずっと続くだろうという考えが頭を過ぎり、ため息を一つついてからパソコンをスリープさせた。


「……はあ、先輩今日は社食ですか?」
「ううん、弁当」
「彼女の?」
「今いないし。気になるの?」


何故だか嬉しそうな池亀先輩の顔が癪に障り(無駄に整っているから尚更)、心底興味無いという風を装っていいえ別に、と呟く。


「なんで着いてくるんですかあ……」
「一人で社食は寂しいと思って。付き合ってあげる」
「なんの嫌がらせ?」


一人だと思われているのは心外だ。私にだって同期も友達もいるっての。
それに、私を不快にさせるのがつくづく上手な先輩も、こんなんだけどモテるから女性社員からの視線が痛いのだ。……今も。


「池亀くん、お昼まだなら私たちと一緒にどう?」
「え、いや俺は……」
「じゃ。失礼します」



♡┈┈♡┈┈♡



「──ってことがあったんですよ今日!」
「いや〜仲良いね」
「な〜」
「良くないしい……てか聞いてなかったでしょ」


日替わり定食三つに今日も大好きな礼王先輩、そして同期の島雄壮大が並ぶ不思議なテーブル。
部署が違うから頻繁に会うわけじゃないのだが、偶然見かけたと礼王先輩が声をかけてくれたのだ。今までの"樹音の後輩"からここまで来れば完全に認知である。どうしよう、背後には気をつけなければ。


「聞いてたよ。池亀先輩?……がなんかしつこいんだっけ。Aんこと好きなんじゃね?」
「何がどうしてそうなった」
「好きな子に意地悪しちゃうタイプいるじゃん」
「にしたって限度があるでしょ」


コーヒーのお礼のついでで試しにと相談してみたものの、何の解決にも至らない。それどころか、礼王先輩の元気があまりないように見えた理由も、分からなかった。


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- 初めてコメントさせていただきます!塩です!枕野れいさんの小説好きすぎて普段コメントなんてしたことないのに思わずしてしまいました、、、笑 枕野れいさんの書く樹音さいっこうにどタイプです!!これからも頑張ってください!陰ながら応援しています♡ (12月17日 2時) (レス) id: 99215fcdd5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:枕野れい | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ruki/  
作成日時:2023年2月4日 18時

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