16 ページ17
空になったお盆を手に部屋を出るシャオちゃんに手を振って見送った。結局大半はシャオちゃんに食べてもらったんだけど。する事がなくなってベッドに寝っ転がる。シャオちゃんが部屋に鍵をかけた為何処へも行けない。天蓋が降りていて、何だか自分の世界に閉じ篭れる気がした。
「チッス邪魔するで！あれ、A何処？」
ガコン、と何かが外れる音がして飛び起きる。天井から黄緑色の物体が落ちて来て驚いたが、会議室で私を凝視していた人の1人だった。目元はパーカーで隠れていて見えているのは定かでは無いが、此方を向いて笑ったのできっと見えているのだろう。
「あーおねむなんかA、一緒に寝たろか？…冗談やって！シャオロンがめっちゃ笑顔で鍵ぶん回しながら廊下歩いとったから鍵掛かって此処から出られんのやろ？暇やろうと思って遊びに来てん。なぁ、構ってぇや。」
自己紹介も無しに抱きつかれ後ろに倒れそうになったが何とか堪えた。今までの人達は優しく、それこそ絆すように抱き締めてきたが、この人は遠慮なく正面から突撃してきたな…弟が居たらこんな感じなのかもしれない。
撫でて、と笑う彼の頭をフード越しに撫でたら、拗ねたようにじっと見つめられた。少し戸惑ったがフードの中に手を入れ、直接ふわふわと触る。何処か大型犬を彷彿とさせるが、案外楽しいので良しとしよう。
「撫でるの上手いなぁA。あ、忘れとった！俺ゾムな、ほら呼んでや。」
「ゾム…ゾムさん。変わった名前ですね。」
いけない、シャオちゃんの勢いで呼び捨てしそうになってしまった。言い直して、適当に話題を振る。Aからしたら全員変な名前やから、と無邪気に笑う彼は気にしていないらしい。
暫く頭を撫でていたが、ゾムさんがいきなり交代！と叫びベッドに押し倒された。効果音を付けるならギュ、という感じで全身を使って抱き締められる。彼は体温が高いようで、段々ぽかぽかと温まってきた。
「A体温低ない？ほらあったまらんと。しんどかったら何時でも俺を頼ってな、絶対ギュってしたるから。」
撫でられるのは好きでも、撫でるのは得意では無いらしい。兎に角頭をわしゃわしゃと乱雑に撫でられた。乱雑ではあるが、乱暴ではない。
「ちょっと昼寝しようや！俺今日夜から仕事なんよ…あんまり此処には居らんかもしれへんけど、出来るだけ来るからな、他の奴らより俺に構ってえや。」
まるで私が此処に居るという前提で話が進んでいるんだよなぁ…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2212人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆう - 幸せなハッピーエンド(?)になって良かったです!! (5月22日 22時) (
レス) @page42 id: f98c154ca8 (このIDを非表示/違反報告)
はゆり - 上から目線失礼致しました (4月27日 23時) (レス) id: 6422253908 (このIDを非表示/違反報告)
はゆり - ハッピーエンド感が漂ってますけどなんて言うんやろ深く？見たら意外とバッド？エンドですね！まぁ夢主ちゃんや、d！の人達が幸せなら私は何でも良いですけど。 面白い作品ありがとうございました！ 他の作品も好きです！これからも応援しています。頑張ってください (4月27日 23時) (レス) @page42 id: 6422253908 (このIDを非表示/違反報告)
杏豆 - とってもおもしろかったです！素敵な作品ありがとうございました！ (2022年9月3日 11時) (レス) @page43 id: d80eb34582 (このIDを非表示/違反報告)
きつね君。(プロフ) - コメ失礼します。大好物が詰まりに詰まっていて無事昇天することができました!!素敵な作品をありがとうございます!! (2022年8月6日 6時) (レス) @page43 id: f4cd021470 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：誠
| 作者ホームページ：http://around-the-clock
作成日時：2020年7月22日 21時
