［d！］人体標本［ヤンデレ］

［黄］王子様の計画的犯行 ページ9

病弱で、お屋敷から出られないご令嬢、それが私に貼られたレッテルだった。学校も満足に行けず、友人の数も片手で収まってしまう。最初は会いに来てくれていた級友も、今では来る気配が無い。

お兄様も妹も健康そのものなのに、何故私だけ。真夜中に独りで泣いた回数は計り知れない。

それでも、私には大切な“お友達”が居る。陽だまりみたいにきらきらした瞳を持っていて、こんな私にも態々会いに来てくれる優しい人。いつもお父様にバレないように窓から入ってくる、私の王子様。

「A！会いに来たで！なんや、今日も体調悪そうやなぁ…こんな部屋に居ったら治るもんも治らん。待っとってな、今日こそ外に出したるから」

「シャオちゃん、今日も来てくれたんだ！ありがとう、でもお外には出してもらえないから…シャオちゃんが来てくれるだけで充分だよ」

それでも、とお父様の元に向かおうとするシャオちゃんを引き留めた。彼は悔しそうに顔を歪めて、私に小さく謝る。謝る事なんてないんだよ、シャオちゃん。

「…あんな、Aと色んな所に行きたい。ずっと一緒に居りたい。なぁ、好きやで」

突然の告白に、顔に熱が集まるのが分かった。此方をじっと見つめる太陽の熱で、溶けてしまいそうになる。

「私も、シャオちゃんの事が、好き、です」

絞り出した言葉はシャオちゃんが拾ってくれて、ぎゅっと抱き締められる。初めてかもしれない、誰かに好きだなんて言われたのは。涙を堪えて、彼の背に手を回す。

「嬉しいわ、まじで嬉しい。んふふ、これで恋人やなぁ…俺とずっと一緒に居ってくれるって事やろ？俺の事好きって言ったもんな。そんじゃ、お姫様をこんな牢獄から出したらんと」

少し部屋で待っていて欲しいと言われ、よく分からないが扉から出ていったシャオちゃんの背を見送った。

「…シャオちゃん、遅いなぁ」

三十分ほど経ったが、シャオちゃんは一向に帰ってこない。もし、シャオちゃんとお父様が言い合いでもしていたら…！彼の事が気になって、こっそりと部屋から出た。

#→←［茶］そうか、つまり君はそんなやつなんだな

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