［d！］乗車拒否［ヤンデレ］

［黒］はじめまして、メリーハッピーエンド ページ34

桜舞い散るこの季節、クラス替えがあり浮き足立つ同級生たち。高い学力を誇り、毎年難関大学への進学者を多数輩出している私立高校２年生となったが、私の日常は相変わらずだった。級友からは距離を置かれ、友達と呼べる人なんていない。私、双葉Aはいじめを受けている。

原因は分かる。私の彼氏がこの学校の生徒会長、グルッペンだからだろう。グルッペンはドイツ人の血が入っていて、金糸のような髪に深い海の色をした瞳を持っている。典型的な日本人である、言ってしまえば黒髪黒目で地味な私は彼と釣り合わないという理由だろうな。

グルッペンの姓はFührer、私は双葉。出席番号順で固定された教室の席は自然と前後になる。グルッペンの近くに居れば生徒会の輪の中に入れてもらえるし、彼らも歓迎してくれるからいじめはそれほど苦痛ではない。

一応、この学校へ入る為には高い偏差値が要されるのだ。並大抵の頭脳では入れない。だから基本は表立っていじめを受けるようなことはない。基本は、なのだが。

「ねぇ双葉さん。私たちね、今日夜の学校を探索するの。
　面白そうでしょう？双葉さんも一緒に如何かしら。」

「せっかく誘ってあげてるんだもの、勿論来るでしょう？」

こんな輩が居るから本当に嫌だ、親の力だけで入学した頭脳底辺組。内心悪態をつきながらも、此処で断る訳にはいかないので首を縦に振っておく。

彼女達の後ろの取り巻きがくすくすと何かを囁き合っているから、きっと裏があるのだろう。いざとなったらグルッペンに電話して迎えに来てもらおう。後は懐中電灯と、予備の電池…頭に持ち物をメモしながら、HRが始まる合図を聞いた。

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