すれ違う2つの心は

87th Love ページ42

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side...Yamasho





走って走って走って。




やっとの事で無駄に運動神経が良くて足が速い果歩の腕を捕まえる。





山彰「俺が追いかけてきてるの気づいてるんならもうちょっとゆっくり走れ、てか止まれ」



「………気づきませんでした」



山彰「目ェ合ったでしょうが、あんたの目は節穴か」



「…一緒に行きます？慎の家」



山彰「優しいから付き添ってあげる」



「山彰さんも慎のこと心配かぁ〜」



山彰「しゃーなしな、しゃーなし」





お前が心配なんだよ。



なんて言える訳でもなく、ゆっくりと歩く果歩の隣で荒くなった息を整える。



普段はゆったりと歩いてる果歩だけど、走り出すとこっちは追いつくのに必死ってくらいに速い。それはもう化け物みたいに。





「慎怒ってるんですかね？お前のせいだ！って怒鳴られちゃいそう」



山彰「んー、俺はそれに関して何も知らないから取り敢えずどうしてこうなったのかを分かる範囲で教えて欲しいな」





そう言うと、「あぁ、そっか」と呟いてからぽつりぽつりと話し始めた。



それを耳でキャッチしながら手元にある携帯で高速で文字を打ち込んで陣さんに送信。





村崎さんにメンバーについてめちゃくちゃ問われたこと。まこっちゃんを紹介してと言われたこと。



その女優がうちの会社がお世話になってる新聞記者の娘だということ。その人たちの裏がやばいってこと。



話し出すとキリがないとでも言うようにボロボロと果歩の口から零れてくる言葉たち。





山彰「じゃあ、果歩の推測で行くとまこっちゃんは彼女に嵌められたと」



「はい、私が紅一点で男メンバーと絡むのが癪に障るんですかね？」



山彰「まこっちゃんからは何も聞いてないんだ？」



「聞いてないです。何ならこの前の壱馬さんとの喧嘩だって」



「村崎さんが関与してる時点で私に非があるのは分かりきってるのに、慎のこともあの時の喧嘩のことも何も知らないとか情けないしみっともないです」





何もかもを自分のせいだと自虐的に考える果歩を見てると、可哀想なんていう同情なんかじゃなくて同じ空間にいる自分までもが苦しくなってくる。





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