すれ違う2つの心は

64th Love ページ18

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side...Hokuto





ボーカルだけのレコーディング。



壱馬の番が終わって陸さんと入れ替わり。



壱馬は果歩を挟みこむように俺とは反対側の果歩の横に座った。



今収録中の曲は次のシングルに収録されるラブバラード。





この曲の歌詞は想いあってる2人の歯車が少しずつ狂っていって、離れ離れになってしまうところから始まる。



この曲の歌い手は男側なんだけど、だんだん霞んでいく2人の思い出の中で「彼女に寄り添ってあげられなかった」「彼女の気持ちを理解しようとして逆に傷つけてしまった」という後悔を歌っている。



そして1番最後の「愛してる」という言葉で終わり。





「ねぇ、この最後の愛してるってどんな思いで言ってるのかな」





ずっと横で歌詞を眺めていた果歩が一言。



この歌詞には愛を伝える言葉、肯定的な言葉が殆ど入ってない。



あるのは最後の「愛してる」って言葉だけ。





壱馬「果歩はなんだと思う？」



「後悔、とか？」



壱馬「あ〜、俺は畏まりの方だと思ったけど」



陸「えー、俺は愛情だと思うな。今まで素直に伝えられなかった分の」





いつの間にかブースから出てきた陸さんも話題に入ってきた。



そして今度は果歩が「行ってきます」と言ってブースに入っていった。





壱馬「どうしたんやろな、果歩」



北人「さあ？」





さっきまで果歩が座ってた席に移動してきた壱馬の一言。



果歩もきっと悩んでる。



周りの環境が変わってきて、今まで知らなかったことも、知らなくてよかったはずの相方や後輩の気持ちも知ってしまったんだから。





このグループのメンバーだから、アーティストだから、紅一点だから。



だからこそ出すことの出来ない答えだって、死ぬほど悩んでしまうことだってある。



でも、果歩は自分の気持ちに正直になってほしい。



果歩のペースで悩んで、藻掻いても足掻いてもいいから、周りのためにじゃなくて自分のために答えを出してほしい。



果歩がどんな答えを出したとしてもメンバーのみんなは絶対に果歩の味方でいるから。





壱馬「北人はこの愛してるにどんな感情がこめられてると思う？」



北人「全部じゃない？3人が言ったこと全部こめられてると思う」



壱馬「随分複雑やな 笑」





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