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十一話 ページ11

「ん…」

目が覚めると、知らない天井。
……そうだ。私寝ちゃって…くるま君の家かな。
今日も過去の夢を見たことにため息を吐いて起き上がる。
あの雨の日の熱を思い出して、ぞくりと身体が震えた。

「…起きました?」
「っくるま君…」

寝室であろう扉に寄りかかるくるま君は、少し濡れた髪を降ろしていてお風呂上がりなことが分かる。
何となく目を逸らして、ふわふわの毛布を握った。

「熱もあったみたいなんで色々買ってきました。…ミサキさん?」
「な、なに」
「顔赤いけど…触るよ」
「ぇ、いや…っ!」

ギシリとベッドに腰掛けたくるま君が、私に手を伸ばしてくる。
その手を払い除けてしまってハッとした。
……なんか私、最近取り繕えてない。
こんなのまるで、今更──

「…意識してるんですか?俺のこと」
「ッ!」

嬉しそうな熱が滲む声に、思わず反論しようとして顔を上げた。
直ぐに見なきゃよかったなんて後悔をする。
くるま君は薄暗い欲を隠そうともしない笑みで、笑っていた。

「可愛い」
「あ…」

手を取られて甲にキスを落とされる。
彼は『する』時私をお姫様みたいに甘やかして可愛がることを思い出して、身体が震えた。
……だから、もうそんな資格無いんだってば。
手を振り払って、胸元で握り締める。

「ッ私のことキライで、甘やかしたいなんて思ってないって言ってたでしょ?」
「……そう思いたいのに思えないんですよ。本当はあの頃みたいにミサキさんを…可愛がりたい」
「や…ッ」

シャツの隙間から入ってきた熱い掌に、快感から逃げるように背中が反る。
上へゆっくりと登ってきた熱に、視界が涙で滲んだ。

「あの雨の日も俺の家に連れ帰って…初めてミサキさんを抱きましたよね」
「ッ…!!」

覚えてたんだ、くるま君も。
言いながらも手は止まってくれなくて、ついに彼の指がブラの縁に当たった。

「ガキだったから夢中で、朝まで離してやれなかったけど…ミサキさんは涙で濡れた顔で俺にキスして許してくれた」
「ん、っぁ…っ」
「そのまま俺の家に住むようになって…どれだけ俺が嬉しかったか分かりますか?」

分からねえだろうな、と吐き捨てた彼の言いたいことは分かった。
ブラの縁から侵入してくる指をやっと掴む。

「分かってたら俺を裏切って出ていったりなんかしなかったよな」
「っも、やめて…あの頃とは違うの」
「……そうですね。昔と違って俺はあんたを憎んでるよ」

言われた言葉に、自業自得だというのに胸が張り裂けそうになった。
逃げて、無かったことにしてただの先輩に戻ったのは私なのに。

「…でも同じくらい愛してる」

ああ、もう心臓が止まりそう。

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Rちゃむ(プロフ) - また更新してくれるの楽しみに待ってます!! (11月21日 3時) (レス) id: 2699b67894 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 展開がおもしろすぎます!!負担にならないペースでいいので更新楽しみにしおります🥺 (10月3日 15時) (レス) @page18 id: e4cf6a3d37 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マピト | 作成日時:2024年9月17日 17時

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