【あんスタ】誠に僭越ですが！！《七種茨》（１２）

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佐「やっべ」








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退勤のセキュリティゲートを抜けたところで


自分の胸ポケットやズボンのポケットを


慌てた様子で探る陣。









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椚「どうかしましたか？」








佐「タバコ、デスクに置いてきちゃった」









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ヘラヘラと笑う陣に対し、


章臣は肩をすくめる。









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P機関のオフィスに戻る旨を


章臣に伝えた陣は、


もう一度セキュリティゲートを通り


エレベーターホールへと向かった。









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《 ガチャッ 》









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佐「なんだ、お前まだいたのか〜？」









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オフィスに戻った陣は、


ユニットレッスンに参加し、


そのまま直帰予定の人物が


自席にいるのに気が付いた。









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シン…と、不気味なほどに


静まり返るオフィス内。









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“異変”を察した陣は、その人物の名前を呼ぶ。









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佐「…A？」









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頭を下げ、自分のデスクに両肘をつく彼女は


明らかに様子がおかしかった。









呼びかけに、うんともすんとも言わない。









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……いや。








よく耳を澄ませば


僅かな、ほんの僅かな嗚咽が


聞こえてくるではないか。









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そして陣は、彼女の机上にビリビリに破れた


“何か”の残骸があるのにも、


また、その“何か”が濡れるほどに


ぼたぼたと水滴が垂れているのにも


気付いていた。









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佐「…………、」









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陣は彼女のことを、ジッと見つめた。








驚いてもいたし、見当も付いていた。









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「………じゃなかった、」









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ボソッと。









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「……茨くんじゃ、なかった」









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「…私、」









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「…私が茨くんを、傷付けた」









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途切れ途切れに、彼女は声を震わせた。









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