誰? ページ22
今日は坂の下で谷地さんと十河さんがおれと影山の勉強を見てくれるから、皆で固まって部室棟前でだべっていた。先輩方もその中にいて、曰く「絶対お前らだけじゃ十河さんと谷地さんが過労死する」らしい。若干酷いと思ったけど言い返せない。
「でも、日向くん大分点数取れるようになったんですよ」
フォローしてくれたのは十河さんで、初対面より随分柔らかく感じる表情で菅原さんに言ってくれた。
「へえ、因みに今日は何点だったの?」
「26点です。初日8点くらいだったのに凄いですよね」
「ぶっ」
「十河さん........もうやめて........」
「エッ」
菅原さんの隣で話を聞いていた縁下さんが吹き出し、おれは案外毒を吐く彼女を止めた。
「まぁ、このまま順調に行けば来週までには40点届くんじゃないか?」
とキャプテンがにこやかに告げるけど、その表情が「つーか超えねぇと分かってるよな?」と語っているのを感じたおれは高速で頷いた。
そのままほぼバレー部全員で暫く喋っていたら、少し離れたところから声が飛んできた。
「A!」
突然名前を呼ばれた十河さんは、びくりと肩を跳ねさせるけど、声のした方を向いた瞬間、目を見開いた。
「あ、碧?」
アオイ、と呼ばれた人はサッカー部のジャージを着ていて、ずかずかと十河さんに近付く。影山よりは小さいけど、それでも大きい身長だった。山口がキョトンとした表情で「あ、立花だ」と呟いていたから、恐らく1年4組なんだろう。
「お前ん家にオレのシューズ置きっぱにしてたから明日取りにいく」
「え、シューズ?」
「うん。前泊まりに行ったろ、そん時」
泊まりに行った時?!?と驚いて2人を凝視するおれ達だけど、十河さんもアオイさんも全く気にしていない。
「だから言ったじゃん、部活帰りに寄らないで一旦帰ってからの方がいいんじゃないって」
初めて見る十河さんの表情だった。呆れたようにため息をついて、少し棘のある口調もおれ達にはしないもの。
言われた立花の方は仕方ねぇだろ、と不機嫌そうに切れ長の目を逸らして、切りそろえられた短髪を掻く。
「そっちの方が着くの早いし......、ゴメン」
しゅん、と眉を下げて謝る姿が何故か十河さんとタブって見える。十河さんはそんな立花を見て、はぁと再びため息をついた。
「家の鍵渡すから明日勝手に回収しときなよ」
「いやお前はどうすんの家入れねぇぞ」
「ポストに鍵入れとけばいいじゃん」
「不用心だろ、一緒に帰る」
一緒に帰る、と立花が言った時、十河さんと何故かキャプテンも少しムッとした表情になったのは、なんでだろう。
528人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちんすこう - 更新しないんですか?凄く楽しみ待ってます。数ある大地さんのお話の中で一番好きです! (2020年5月12日 10時) (レス) id: 9e27674b7b (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - 草さん» 返信遅れてしまって申し訳ありません。そうなんですね・・・!知識不足でした、ありがとうございます。大地さん大好きなので我慢出来ずに書いちゃいました。読みやすいと言っていただけて安心しました。妬いちゃう大地さん難しかったので萌えて頂けてなによりです。 (2019年11月5日 21時) (レス) id: 3e7d8a8bee (このIDを非表示/違反報告)
草(プロフ) - 早生まれは1/1から4/1で、遅生まれが4/2から12/31なので三月生まれの夢主は遅生まれではなく早生まれですね。大地さん夢珍しい上に文が読みやすいです。妬くところ大地さん普通の高校生で萌えました。 (2019年11月2日 23時) (レス) id: 59c85b2532 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:奏 | 作成日時:2019年9月8日 20時