あ。 ページ16
あ。
｢サワムラ先輩........｣
グラウンドに体操服で、同じクラスの友達と話している先輩の姿を見つけて、思わず声がでた。今は3時間目で、数学の授業中。窓際後ろから3列目の私は、数学教師の万人が退屈だと答えるような解説を、ぼんやりと外を見ながら聞き流していた時。
3年生の体育って何なんだろう、と少しの好奇心に背中をつつかれ、もはや教師の声すらもシャットダウンしてグラウンドに意識を集中させる。
どうやらサッカーの試合をしているようで、時々｢うわぁー！！｣とか｢パス！パス！！｣とか、騒がしい声がうっすらと3階の教室まで聞こえるほど盛り上がっていた。
楽しそうだなぁ、サワムラ先輩。
どうやら先輩は運動全般が出来るタイプらしく、パスを受け取っては他の誰かに回すのが異常に上手い。その癖決めれる場面ではきっちりシュートを入れてるんだから、なんだか。
かっこいいなぁ、サワムラ先輩。
シュートを決めて同級生に揉みくちゃにされているサワムラ先輩は、第2体育館や昨日の帰り道で見た表情よりずっと子供っぽくて、先輩も高校生なんだと改めて思った。
あ。
またサワムラ先輩を見つけてしまった。午後イチの授業が終わったあと、6時間目は移動教室だったから、教科書類を持って3階の理科室へ向かってる時。
｢Aちゃん？｣
一応人見知りなりにも友人は数人いて、いつも引っ張ってくれる悠ちゃんが突然立ち止まった私に声を掛けてきた。
｢どしたの？｣
｢え、いや、なにも｣
｢3年の知り合いでも見つけたの？｣
｢そんな感じ........｣
相変わらずコミュニケーションが下手くそな私の言葉を一つ一つ拾ってくれる悠ちゃんには頭が上がらない。そういえば体験入部するって言ってたもんね、と気さくに笑う。
｢じゃバレー部の先輩なんだ。誰？｣
｢あ、あの4組の廊下側の席の、白い髪の人と喋ってる先輩｣
｢えーっと....あ、あの人か！壮行会で喋ってたね！｣
｢そうだっけ........｣
人を覚える能力が死んでいる私は壮行会でスピーチしていた人の顔なんて朧気で、けどサワムラ先輩がしてたならちゃんと覚えてたかったな、と少し後悔しつつ、改めて先輩の方を見る。
眠そうだなぁ、サワムラ先輩。
同級生の人と話しながらも眠そうで、時々小さく欠伸をしては目を擦っていた。
その姿がなんだか、どうしても。
｢やばいチャイムなっちゃう！｣
｢う、うそ！ごめん！｣
｢いいよいいよ！急ご！｣
無事に授業は間に合ったけど、理科の実験中ずっと頭の中にあったのは、無邪気に笑う先輩と眠そうな表情の先輩の表情だった。
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ちんすこう - 更新しないんですか？凄く楽しみ待ってます。数ある大地さんのお話の中で一番好きです！ (2020年5月12日 10時) (
レス) id: 9e27674b7b (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - 草さん» 返信遅れてしまって申し訳ありません。そうなんですね･･･！知識不足でした、ありがとうございます。大地さん大好きなので我慢出来ずに書いちゃいました。読みやすいと言っていただけて安心しました。妬いちゃう大地さん難しかったので萌えて頂けてなによりです。 (2019年11月5日 21時) (レス) id: 3e7d8a8bee (このIDを非表示/違反報告)
草(プロフ) - 早生まれは1/1から4/1で、遅生まれが4/2から12/31なので三月生まれの夢主は遅生まれではなく早生まれですね。大地さん夢珍しい上に文が読みやすいです。妬くところ大地さん普通の高校生で萌えました。 (2019年11月2日 23時) (レス) id: 59c85b2532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奏 | 作成日時：2019年9月8日 20時
