送っていくよ。 ページ13
｢えっ、そうだけど｣
肯定すれば、日向くんがまたもや驚いた声で｢十河さん家どこなの？｣と聞いてくる。どうしたんだろう、と思いつつ毎日使っているバス停を言えば、日向くんじゃなくてサワムラ先輩が｢俺らと真逆だな｣と何故か少し怖い顔で言ってきた。
｢そうですね？｣
だからなんなんだろう、早く帰ってちゃんとご飯作らないと。そんな事を考えていたら、いつの間にかサワムラ先輩が私の目の前に立っていた。
｢サワムラ先輩？｣
どうされました？と聞けば、サワムラ先輩はふぅ、と息をついたあと、にっこりと笑って
｢送っていくよ｣
と言ってくる。え、送っていくって、え、でも、
｢い、いいです、先輩逆って言ってたじゃないですか｣
｢いいから。時間も遅いし、女の子1人じゃ危ないだろ｣
｢いいです、ほんと、バス停近くなので、ほん｣
｢十河さん｣
とうに、と続けようとして私は口を閉じた。サワムラ先輩が有無を言わせない笑顔と声で私の名前を呼んだからだ。
｢あ、........よろしくお願いします........｣
謎の圧に圧倒されて、私は大人しく頭を下げるしかなかった。........さすが運動部主将、なのか........？
サワムラ先輩は満足気に頷いて、ほかの部員たちに｢んじゃ、俺は十河さん送っていくから、お前ら真っ直ぐ帰れよー！｣とお父さんみたいなことを言って、私に｢行こうか、こっち？｣と聞いてくる。表情はさっきと打って変わって優しいものに変わっている。
｢あ、はい。そこの遡って、交差点を左折して、しばらく歩いたところです｣
｢........あそこだいぶ暗い道じゃないか？｣
｢まぁ、そこそこ........？｣
どうなんだろう、こんな時間に通った事ないからわからないですねと言えば、サワムラ先輩はため息をついていた。
｢十河さんね、こんな時間にあの暗い道、初めて行こうとしちゃダメでしょうよ｣
｢あ、え、すみません.....｣
｢仮入部の間は俺が送るから｣
｢え、いやそれは｣
申し訳ないです、と紡ごうとした口はサワムラ先輩の｢ん？｣という笑顔で速攻で閉じられた。
でも本当に申し訳ない、と目を伏せて黙り込む私の頭に、大きくてあたたかい感触が広がる。
驚いて弾かれたように顔をあげれば、サワムラ先輩が目を細めて私の頭を撫でていた。
｢遠慮もいいけど、ちゃんと先輩は頼りなさいよ｣
その表情が優しすぎたもので、私の頭を撫でる少し固くて大きな手のひらも柔らかくて、思わず心臓が掴まれたみたいに跳ねてしまった。
｢あ、りがとう、ございます｣
私のたどたどしいお礼は、少し震えていた。
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ちんすこう - 更新しないんですか？凄く楽しみ待ってます。数ある大地さんのお話の中で一番好きです！ (2020年5月12日 10時) (
レス) id: 9e27674b7b (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - 草さん» 返信遅れてしまって申し訳ありません。そうなんですね･･･！知識不足でした、ありがとうございます。大地さん大好きなので我慢出来ずに書いちゃいました。読みやすいと言っていただけて安心しました。妬いちゃう大地さん難しかったので萌えて頂けてなによりです。 (2019年11月5日 21時) (レス) id: 3e7d8a8bee (このIDを非表示/違反報告)
草(プロフ) - 早生まれは1/1から4/1で、遅生まれが4/2から12/31なので三月生まれの夢主は遅生まれではなく早生まれですね。大地さん夢珍しい上に文が読みやすいです。妬くところ大地さん普通の高校生で萌えました。 (2019年11月2日 23時) (レス) id: 59c85b2532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奏 | 作成日時：2019年9月8日 20時
