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18 その先の言葉 ページ19

side 青


「小瀧、」

「・・や、やっ・・・、濱ちゃ、」


俺から逃れようとするのが気に入らへんし、
俺以外を呼ぶ声もめちゃめちゃ鼻に付くし、
いつだかと同じ、触れた時の拒絶も

むしろ、わざとなんか?
煽られてしゃあない。


「───・・濱ちゃん!」


気づけば俺は叫んでた。
予令の響きが焦りを加速させて。
それでも小瀧のこと
傷つけることはしたない、
なのに、俺がその元凶なんか、
そんな気持ちを消化できなくて
怒りの矛先が変わる。

誰も居なくなって静まり返る廊下を避けるように
濱ちゃんは俺と小瀧を階段下の死角に誘導する。
ひきずられながら俺は濱ちゃんを睨み付けた。


「濱ちゃん
何してたん、」


何って、
別に濱ちゃんは何もしてへんのに。


てか、俺が小瀧を助けてってお願いしたんやけど。
けど濱ちゃんは。
俺が小瀧のことどう思っとったか
きっと知っとったんやないか、なんて
一度も口にしてへんのに
勝手な期待を擦り付ける。



よろしく、なんて言うたけど、
やっぱ奪らんといて。
教師って役得と安心感で、
俺から小瀧のこと、奪らんで、濱ちゃん。



「藤井落ち着けて」

「落ち着いとるっ、し、」



そんな風に冷静な声出せる奴に小瀧のこと、譲らんよ俺は、


 

「り、流星、」



どろどろな頭の中の澱を、透き通るような声が照らして


「も・・おれのこと、構わんで、」


残酷な響きを落とした。


構わんで、て?


きつい冗談、



「お前、俺がどんな気持ち、で」


さっきから滅茶苦茶や。
伝えてもない気持ち、小瀧が知るわけないやんけ。

けど、止まらへん。


「おい、二人とも落ち着け、小瀧ちょっと離れろ、」


濱ちゃんの相変わらずブレない声に苛立つ。
小瀧の腕を掴む力が、強まる。



「や、やっ・・・・、」


──何が嫌やねん、
 


「藤井、」


「いややっ・・・・」


「何が嫌やねん!」


「───流星がっ・・・・、」



小瀧は、濱ちゃんからやっと離した顔でこっちを見て、苦しそうな声を、絞り出した。



「ど、同情でっ、」



──同情?



「流星に、同情で一緒に居って貰うくらいなら
死んだ方がマシや、
やから、もう、」



もうおれのこと構わんとってよ、

小瀧がそう言った、意味が分からなくて。

やって、俺は。


「同情、なんか、
してへんわ、
俺はお前が、っ、・・・」



こんな涙声じゃ
格好悪くて言えへん。



好きなだけなんて


アホみたいに、
ほんまに

それだけなんて。


──

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まいん(プロフ) - Noさん» ありがとうございます。わざわざコメントまで書いていただいて恐縮です。すみません。そんなふうに言っていただけてこちらこそ本当に嬉しいです。ありがとうございます。 (2021年4月30日 22時) (レス) id: 715f3175ec (このIDを非表示/違反報告)
まいん(プロフ) - かこさん» Oh…ありがとうございます(泣)こちらこそ早速ご覧いただき本当にありがとうございます。お待たせしてすみませんでした。 (2021年4月30日 22時) (レス) id: 715f3175ec (このIDを非表示/違反報告)
No(プロフ) - ずっと待ってました>_<本当に嬉しい限りです。 (2021年4月30日 18時) (レス) id: a928634097 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - まいんさん» ずっと待ってました( ; ; )更新してくださって本当にありがとうございます! (2021年4月30日 14時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
まいん(プロフ) - 名無しさん» お恥ずかしいです。もったいないご感想で恐縮です。そして嬉しいです。私の小説に対してなのか不安になってしまうほどです。何かの間違いでなければ、本当にありがとうございます。 (2021年4月30日 11時) (レス) id: 715f3175ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まいん | 作成日時:2019年9月6日 19時

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