鉛色の空〈JW青×桃〉２

13　告白 ページ14

side 青



俺は何度、こいつに肝を潰されるんや。

自分でもよく分からへん俺の感情が、なんでこいつには分かるんや。


「流星気づいてへんかったかもしれんけど
流星がさ、小瀧のこと気にし出した時
おれ結構早い段階で気づいててんな、
その、流星の気持ち」


嘘やろ、そう思うけど。
こいつは確かに、へらへらしとるように見えて人の気持ちには誰よりも敏い奴やった。
でもそんな時から、そんな前からなんて。


「やからなおれなりに、
流星悩んどるみたいやったから
大丈夫やって言うつもりで
冗談ぽくなってまったけど、
俺の気持ちも、伝えてんな」


流星が好きやった、って。

しげが淡々と、天井だけ見つめるようにして喋るのに、
俺は金縛りに合ったみたいに相槌すらうてず、椅子から動けなかった。


「何かさ、最近もさ？
流星、何かあったんか、悩んだままみたいで
小瀧と、仲良うなっとんのか、何や気まずいんか、
ようわからへんくて、おれさ
流星、おれに何も言ってこおへんし
相談してくれへんかなあって
ちょっと寂しかったな」
「・・ごめん、しげそれは」
「やええねん、
流星もさおれから好きやったとか言われて
好きなやつの相談とかしにくいやんな
分かっててん
分かっててんけど」


何かな、先輩と居っても
流星のことばっか考えてもうて
先輩はああ言うてくれたけど
おれが振られたようなもんやねん
先輩にはほんま申し訳ない。


「・・しげ、」


しげには迷惑ばっかかけとる、
そう思ってたけど、ずっと。

謝るだけじゃ足りひんこともある。


「流星、C組のやつに殴りかかったときあったやん」
「・・・殴っては、ないけど」
「殴るより衝撃的やで、あれは
あんとき思った
流星は、小瀧が大好きなんやって」



──不思議や。
しげにそう言われたら
まだ心のどこかに残る、男が男を、そんな偏見も
棘みたいに刺さったままの小瀧の涙も
そんなマイナスが全部消え去ってくように思える。
俺が小瀧のこと思う気持ちを
丸ごとしげが肯定してくれとるみたいに思える。
小瀧よりも、俺よりも、誰よりも。
小瀧を好き、それでええよって。


「最初から分かっててん、おれ」


なのに、俺はしげに何を言えるやろうか。


「初めて、小瀧を下駄箱で見たときの流星がさ、
あー、おれがずっとその目で見て欲しかったなあって、
・・・・、ごめ、」

ごめん
おれあかん、

まだ好きや
流星



噛殺すような声に、


俺がかけてやれる言葉は
探したらどっかにある、やろうか。

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