11 神山先輩 ページ11
side 青
しげのわけわからん態度で混乱した俺を、
ごめんねって眉下げた表情で
フォローするみたいに目配せしてきた神山先輩に
促されるように仕切りの外に出た。
待って、差しでしゃべったことないねんけど。
気まず。
「ごめんね、藤井くん」
「や、俺は別に」
「しげ、重岡くん、怪我って聞いて。
大丈夫やったかな、」
「頭は打ったけど大したことなかったみたいです」
「良かった、あのごめん私
重岡くん重岡くんて、
藤井くんも怪我してもうたん?
大丈夫なん・・?」
「あー俺は全然、平気です、ありがとうございます」
「そっか・・・良かった、二人とも」
女の子らしいふわっとした表情、仕草、甘い声。
肩下に揺れるミルクティーみたいな髪色、
可愛らしい笑顔。
この人がモテんの、分かるわ。
見た目だけじゃなくて、額にはっついた湿布に気づいて俺のことまで心配してくれて、
性格もめっちゃ可愛いねんて、しげもそう言うてたな。
釣り合わへんって。
「・・・会わないんすか?」
「・・あ、・・・重岡くんまだ、
藤井くんに言ってないんやね
ごめんね」
先輩の返事半分くらい聞いたとこでもう後悔した。迂闊なこと聞いた。もう遅いのに口許を手のひらで覆う。おいしげ聞いてへんぞ。
「重岡くんとは、別れたの
私、振られてしまって」
「・・・あー、ごめんなさい」
「ううん、ええの、ごめんね」
重岡くんは会いたなかったと思うけど、
分かっとったけど、心配で
これ渡してもらえる?
藤井くんも、お大事にね。
先輩は少しだけ寂しさの滲む笑顔で
気丈に言って、俺にしげの鞄を差し出した。
健気やな、と思うと同時に何振っとんねんこんなええ子、って思いが湧いた。
「藤井くん」
「はい、?」
「しげのこと、よろしくね」
先輩は意味深に言い残して背中を向けた。
あ、怪我人よろしく、てことかな。
先輩の足音が聞こえなくなったのを確認して、カーテンを思いっきり開けたった。
そんで鞄をしげが頭から被ってる布団の上に雑に放った。
「おい、」
声かけるとしげは、先輩帰った?と布団の下から恐る恐る顔を見せる。
「帰ったけど、お前さあ、」
「ちょ、ストップストップ」
「いや、あんなあ」
「おれ怪我人やで、今っ、」
会話の流れ盗み聞いてか、俺が先輩に同情的なのに感づいて
責めんなよ!みたいな顔で俺を見て、また被った布団からでっかい目だけ覗かせて牽制する。
俺はため息をついて椅子に深く腰かけた。
───
◇ 番外〈赤×緑♀〉eyes on me.→←10 カーテンの向こうの
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まいん(プロフ) - Noさん» ありがとうございます。わざわざコメントまで書いていただいて恐縮です。すみません。そんなふうに言っていただけてこちらこそ本当に嬉しいです。ありがとうございます。 (2021年4月30日 22時) (レス) id: 715f3175ec (このIDを非表示/違反報告)
まいん(プロフ) - かこさん» Oh…ありがとうございます(泣)こちらこそ早速ご覧いただき本当にありがとうございます。お待たせしてすみませんでした。 (2021年4月30日 22時) (レス) id: 715f3175ec (このIDを非表示/違反報告)
No(プロフ) - ずっと待ってました>_<本当に嬉しい限りです。 (2021年4月30日 18時) (レス) id: a928634097 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - まいんさん» ずっと待ってました( ; ; )更新してくださって本当にありがとうございます! (2021年4月30日 14時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
まいん(プロフ) - 名無しさん» お恥ずかしいです。もったいないご感想で恐縮です。そして嬉しいです。私の小説に対してなのか不安になってしまうほどです。何かの間違いでなければ、本当にありがとうございます。 (2021年4月30日 11時) (レス) id: 715f3175ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まいん | 作成日時:2019年9月6日 19時