episode3 ページ4
【Aside】
「その遠征、実は独りじゃないんやで」
後ろから肩をポンポンと叩かれ振り向くと、
そこにはチリさんがいた。
『あ！お久しぶりです…チリさん』
そう答えると、チリさんは
「“チリちゃん”やろ？」
と言って笑った。
「それにしても自分、えらいモテモテやなあ
もうチリちゃんよりモテてんとちゃう？
妬けるわぁ」
顔にかかる髪を少し耳にかけて、チリさんはにっと笑った。
『そんな事言って、全然余裕そうじゃないですか』
「なはは、そりゃチリちゃんは美人さんやからな」
そう言うと、さらっと私のバッグを取り上げ
当たり前かのように肩にかける。
______そういうとこだ、そういうとこ！！
そう叫びたくなったが、すんでのところで抑えた。
『別に良いのに……わざわざありがとうございます
後で私が持ちますから』
「なんや自分、昔は顔真っ赤にしとったくせに
随分余裕そうやなあ」
『…まあ、そりゃ私、1番強いですから』
かなり子供っぽいが、仕返しのようにすました顔でそう答えると彼女は大物だと昔のように笑った。
______
今日は特に予定はなくて、途中の旅館まで行けば大丈夫。
実質プチ旅行みたいなものだ。
ネモは心底行きたがっていたが、あれと行くと私の身が持たない。
一戦一戦ならやや私の方が勝っていても、持久力が桁違いだ。
何ならエゴサした時には、陰キャと陽キャとか言われていた。
敵をやっつけてくれるなら心強いが、私までやっつけられたら元も子もない。
「結構歩いたなぁ。そろそろお昼にしよか」
『そうですね、確か近くに美味しいカツ丼屋さんがあるので良かったら行きません？』
「お、ええやん」
そんな会話をしてから少し経ち……。
少し歩いた道のはずれの場所に、ひっそりとある老舗のカツ丼屋。
私は暖簾を潜り、おばちゃんに挨拶をする。
『おばちゃん久しぶり！またおばちゃんのカツ丼食べたくなっちゃった！』
「おお、Aちゃん久しぶり
随分べっぴんさんになったねぇ…
おや、今日はまたこりゃべっぴんさんもいるじゃないの」
おばちゃんが少し目線をずらすと、奥から少し屈みながらチリさんが入ってきた。
「こんにちは、チリちゃん言います。よろしゅう頼んます。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 275人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りこまる - やばい……好き (12月26日 2時) (
レス) @page24 id: 9a77c9521c (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - すっっっきぃ… (9月2日 23時) (レス) @page24 id: a311a04bdb (このIDを非表示/違反報告)
あんず - この小説が最近の生き甲斐です！続編楽しみにしてます！お体に気をつけて、更新頑張ってください！！応援してます！！ (2023年2月8日 23時) (レス) @page24 id: 05f7df07a8 (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます！この話は胸のトキメキや無双系ではなく、意地汚さやもどかしさなどの人間味を重視して書いているのでそう言っていただけて心の底から嬉しいです。是非今後もこの作品をご贔屓にして頂けたら幸いです。 (2023年2月7日 21時) (レス) @page24 id: 2288440125 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 初コメント失礼します。とても綺麗で人間らしい内容と構成で本当に感動しました。これからどう成長し、展開していくか、本当に楽しみです！これからのご活動も心より応援しております。お身体にはお気をつけて楽しんで作品活動続けてくださると嬉しいです！ (2023年2月5日 16時) (レス) @page22 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わらび餅 | 作成日時：2023年1月6日 2時
