episode2 ページ3
【チリside】
言ったことは忘れるから
と、何とか説得したあの日、Aは
『…分かりました！』
と、一言だけ答えて、それっきりほんまに何も無かったかのように四天王とチャンピオンちゅう関係だけで付き合い、10年近く経った。
短かった彼女の髪は艶やかな長髪になり、身長も辛うじて勝ってはいるもののかなり伸びて大人びている。
ほんで極めつけはその圧倒的な強さで、瞬く間にあらゆる人を魅力し
ネモさんとAさんどっち派？ちゅう流行語が出来るほどに人気になった。
二人がバトルで着けとった装備は、瞬く間に完売するらしい。
アオキさんは、折角強い人が2人もいるのに2人とも別の仕事が入るせいで、結局兼業しなきゃいけないまま、全然仕事量が変わらないと嘆いとった。
「変わらないのは、私達だけっちゅーことですわ、はは」
そないな事を話しながらお酒を交わした次の日。
未だにデジタルについていかれへん総大将からいつも通り書類を渡される。
「遠征……私にですか。そりゃまた珍し……」
「最近は面接者も多くて、チリはずっとここから動けませんでしたからね」
「せやけど、他に試験管は誰がやるんです？」
まともに出来そうな人おらへんとちゃいます？と言うと、オモダカさんはクスッと笑った。
「チャンピオンネモがやってくれるそうです」
「え、ええー！そりゃまた意外な」
「チャンピオンネモ、本当はチャンピオンAと遠征へ行きたがっていましたけど、Aから断られたようですよ
“ネモと行くと1時間に1度はバトルが入るせいで仕事する前に疲れるからヤダ”ですって」
そう言うてから、オモダカさんはツボに入ったようで長めに笑った。
「そりゃネモらしい……ん、Aと遠征……？」
「あら、ちゃんと書類に目を通してくださいね。今回は少し危険を伴うので冷静なAに仕事が入ったのですけれど、安全を考慮して護衛をつけることになったんです。」
「なるほど…そういうことならチリちゃんに任せといてください！」
「ええ、よろしくお願いしますね」
そう言うと、オモダカさんは奥の部屋へと戻って行った。
(Aと遠征……。)
きっとこれは、神様が悪戯に用意したチャンスだと、誰かの声が聞こえた気がした。
あらゆる歯車が噛み合って、この仕事が入ったんや。
ずっとモヤモヤしとった自分の気持ちと、過去と、このあやふやにされた関係性を変えなければならない。
そう思いながら、私は遠征の準備を始めた。
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りこまる - やばい……好き (12月26日 2時) (
レス) @page24 id: 9a77c9521c (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - すっっっきぃ… (9月2日 23時) (レス) @page24 id: a311a04bdb (このIDを非表示/違反報告)
あんず - この小説が最近の生き甲斐です！続編楽しみにしてます！お体に気をつけて、更新頑張ってください！！応援してます！！ (2023年2月8日 23時) (レス) @page24 id: 05f7df07a8 (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます！この話は胸のトキメキや無双系ではなく、意地汚さやもどかしさなどの人間味を重視して書いているのでそう言っていただけて心の底から嬉しいです。是非今後もこの作品をご贔屓にして頂けたら幸いです。 (2023年2月7日 21時) (レス) @page24 id: 2288440125 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 初コメント失礼します。とても綺麗で人間らしい内容と構成で本当に感動しました。これからどう成長し、展開していくか、本当に楽しみです！これからのご活動も心より応援しております。お身体にはお気をつけて楽しんで作品活動続けてくださると嬉しいです！ (2023年2月5日 16時) (レス) @page22 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わらび餅 | 作成日時：2023年1月6日 2時
