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大貴「“幼馴染以上になりたくない”なんて嘘」
私を抱きしめたまま一方的に話し続けた。
大貴「あの頃、Aとはこのまま幼馴染でいた方が幸せなんだって思ってた。だから…自分の気持ちを正直に伝えられなかった」
振られてしまった修学旅行2日目の夜……悲しい顔をしていた大ちゃんを思い出した。
大貴「あと…美波のこと…。頑張る彼女を傍で支えたいって思ってたのは確かだけど……それだけじゃなかった」
大貴「美波といることでAへの気持ちを消そうとしてた……美波達から指摘されて気付いた」
大貴「俺がずっと中途半端だったせいで…………俺の周りの大事な人達を巻き込んで傷付けた」
俯いた彼の目から雫が落ちたように見えた。
そんなことは気にせず、私の両肩に手を置いて見つめる。
大貴「だからもう正直になるって決めた…」
瞳を潤ませた彼から目を逸らせなくなる…
大貴「ねぇ…俺のこと、あの時からまだ好きでいてくれてる?」
そんなの……
訊くまでもないのに…
きっと…彼は分かってるはず…
訊いてくるなんて……ずるい
大貴「Aが好きだよ……ずっと前から」
彼の顔が近付いてくるのを感じて目を閉じた。
唇が…ゆっくりと触れた。
角度を変えて触れては離れてを繰り返すキス。
目を開けると大ちゃんと目が合って、
大貴「ふふっ…」
目を閉じた彼は幸せそうに微笑む。
…静かな間があった。
至近距離で額をくっつけたまま動かない大ちゃん。
大貴「ずっと好きでいてくれて…ありがとう」
愛おしそうに私を見つめる彼の目は、涙のせいかキスのせいか…酷く潤んでいて…熱っぽかった。
「っ、…」
涙が溢れた私を見て…ぽんぽん、と頭に手を乗せた。
大貴「大貴、また泣かせたの?、って…知念に怒られるな…」
もう一度、私を引き寄せて抱きしめた。
Fin...
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作者名:もちもち | 作成日時:2019年8月19日 20時