151 - 高3 花火大会(回想) ページ12
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小学4年の夏……私はちーちゃん、大ちゃんを含めたクラスの友達6人と花火大会に行った。
その年、女子は揃って浴衣を着ることになったんだよね。
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侑李「花火までもう少し時間あるね。次どこ行こうか」
さっきから歩く度に足に鋭い痛みが走る…。
鼻緒の部分が痛い…履き慣れてないから仕方ないよね。
大貴「どうした？…A疲れた？」
前を歩いていた皆が立ち止まって心配そうに私を見ている。
「え、別に…そんなことないよ。早く行こ！」
浴衣が暑い！って着付けの時に文句を言ったら、おしゃれに我慢は不可欠なの！ってお母さんに言われたから……だから我慢…。
なぜか不機嫌そうに私を睨みつける大ちゃん。
前を歩く友達は人気屋台のたこ焼きを買いに行きたいらしくて、早く並びに行こうよ〜、と急かしている。
大貴「嘘つくなよ。……ちょっと来て」
大貴「おい知念！丘に後で迎えに来て！」
スマホなんて持っていないので合流の手段が無い。
大声で前にいるちーちゃんに声をかけた。
私の腕を引っ張って花火の丘がある方向に歩いた。
大貴「ここ、座って」
大きな岩に私を腰掛けさせると隣に座った。
おもむろに履いていたスニーカーと靴下を全部脱ぎ始めた。
大貴「はい！靴交換！身長同じくらいだし足のサイズ一緒だろ？」
「え、いやだ。浴衣にスニーカーって変だよ。それに交換したら大ちゃんが足痛くなっちゃう」
大貴「ほらやっぱ足痛いんだろ？」
「あ……。い…痛くない……わっ！！」
呆れた大ちゃんに下駄を両方脱がされて、靴下とスニーカーを無理矢理履かされた。
大貴「あ〜ほら…下駄ぴったり入ったわ。ははっ」
そう言って岩に腰掛けてる大ちゃんは足をぶらぶらさせたけど、下駄は落ちることなくしっかり足に合っているみたい。
服装とは合ってなくておかしいけど…足はかなり楽になった…。
「……ありがと」
このくらい我慢出来ない私が悪いのに…。
大貴「俺ね、毎年この花火大会にA達と行くのすっごい楽しみにしてんの。帰ったその日の夜にはもう来年のこと考えててさ…」
これで足を気にせず楽しめるでしょ？…そう言ってニカッと白い歯を見せた。
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大ちゃんはいつも私の些細な変化に気付いて優しくしてくれた。
今思えば……あの頃にはもう恋心を抱いていたのかもしれない…。
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作者名：もちもち
| 作成日時：2019年8月19日 20時
