054 - 巡り合わせ ページ6
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(大貴「ーー 俺もAのこと好きだよ」)
前回帰り際に言ってくれたあの言葉は、レンタル彼氏の契約時間内だったからだよね…?
(大貴「また会ってくれる? 俺、もっとAのこと知りたい… 」)
耳元で吐息がかかるくらいの距離で聞こえた声。
思い出すだけで胸がきゅうって締め付けられる。 嬉しくて内心凄く舞い上がっちゃった。
彼にあんな甘い言葉を囁かれたら、どきどきしない女の子はいないんじゃないかな。
確信犯だとしても、素で出ちゃったんだとしてもタチが悪いよ。
一度抱いてしまったこの気持ちはもう止められない。
6年前、雨の中で不思議な出会いをした命の恩人の “だいきくん” と同じ名前の彼に出会って、意識すればするほど惹かれていった。
大貴くんの優しい瞳は彼と重なるものがあって、運命めいたものを感じた。
そんなはずないのにね。
年齢も名前も同じなんて…すごい偶然だから。
赤い糸とかそんなんじゃないかもしれないけど、なにかの巡り合わせなんじゃないか、って。
慧にこんな話をしたら、また『運命』とか言ってんのかよ、って笑われると思う。
もうすぐ駅に着く、って連絡があったので『改札前に行くね』とメッセージを送って移動した。
改札前のお花屋さんで店頭に並んだミニブーケを眺めていた。
白い菊と紫色のカーネーションを中心とした落ち着いた色合いのブーケを見つけた。
菊だから供花にしていいのかな?
綺麗だから今度お父さんに買って帰ろう…
今日買うつもりはないので店員さんに話し掛けるのは申し訳なくて、スマホを開いて供花に向いている花の種類を検索していると後ろから肩をとんとん、って叩かれた。
振り返ると、少し困ったように眉尻を下げて微笑む大貴くんがいた。
大貴「お待たせ…」
顔の前で手を合わせて、ごめん! って上目遣いで謝ってきた。
うるうるした瞳でそんなこと言われたら許すしかなくなるじゃん…そもそも怒ってないけど。
「ふふっ、気にしてないよ。 久々に買い物出来て楽しかった」
大貴「ほんと? 良かった。 ちょっとトラブっちゃってさ……」
まるで恋人みたいなやり取り。 私達のことを知らない人達から見たらそう見えるんだろうな。
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もちもち(プロフ) - せりかさん» コメント頂けてると思わず御返事遅くなりすみません; わわ…せりかさん!だだ…だ大ファンです…!信じられない…有難う御座います!!(T-T) (2020年3月4日 12時) (レス) id: e672c225a3 (このIDを非表示/違反報告)
せりか(プロフ) - こんにちは、初めまして。私は他の方のお話をあまり読まない方なのですが、もちもちさんのお話は文章が綺麗で楽しく読ませて頂いてますー!続き待ってますね。(^^) (2020年2月8日 15時) (レス) id: 02a6a09f83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちもち | 作成日時:2020年1月17日 23時