雲の切れ間から After Story - Daiki.A

042 ページ43

・

・

・

・




役所職員「こちらが母子手帳です。 医療機関受診時には必ずこちらの妊産婦医療費助成券と一緒に提出して下さい」



仕事が早く終わったある日の帰り道。



駅前の行政窓口で妊娠届を出した私。



当たり前だけど、淡々と事務手続きをする役所のお姉さん。 ピンク色の可愛い天使やハートに囲まれた赤ちゃんが描かれた母子手帳を受け取る。



3枚1セットの写しになっている医療費助成券は、住所や名前、出産予定日を全て書き込んで、産婦人科を受診する度に提出することで窓口での負担額を抑えられるものなんだとか。



それぞれに『5000円券』・『3000円券』・『妊娠初期検査助成券』とか色々書かれてる。



こんなものがあるんだ……



妊娠するまでそういう社会の仕組みを知らなかった。あと2年で30歳になるというのに。



これから先も知らないことがいっぱい出てくるんだろうな。



A母子手帳もらった〜!



写真を撮って大貴に送ってみた。



やばい……完全に浮かれちゃってる。





ーー





家に帰ったらすぐにご飯を食べて湯船で身体を温めて、今日受け取った母子手帳と、以前産婦人科でもらった冊子に目を通していた。



母子手帳に名前や住所を書いていると、ある項目でペンが止まった。



“父親” の名前、生年月日、職業の欄。



「父親……か」



そうなることを分かった上で子供を作ったのに、やっぱり不思議な感じ。



夫になる前に、父親になった幼馴染。



大貴おー!直接見たいなー!

くそ……今日泊まりだから無理だ



そうだ、今日大貴は泊まりの仕事だった。



A別に無くなるものじゃないから大丈夫だよ



母親として、父親として、ひとつひとつの “初めて” をこうして彼と共有できるのはすごく幸せなことだ。



〜♪

ベッドの上に置いたスマホから音が鳴った。



画面を見ると、先月開催された同窓会の時のグループトークに未読がついていた。



37人のクラスメイトの中でおよそ30人がこのグループに参加してて、その中で同窓会当日に来れたのは20人くらいだった。



今更……誰からなんのだろう。



慧ご報告です!



急用で同窓会に来れなかった慧くんからだった。



慧子供が産まれました〜!



「え〜〜？！」



思わずひとりで叫んだ。



.

043→←041 - 高3 後夜祭

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す