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2人きりの薄暗い玄関。気味が悪いくらい静かだった。
伯母さんちに着いて靴を脱ぎながら、ふと隣を見ると、
「っ…」
お兄ちゃんが同じように私のことを見てて、数秒間時間が止まったように視線が絡んだ。
目を細めた綺麗な顔がゆっくり近付いてきて……
キスされる…
「あっ……だっ…だめ」
反射的にお兄ちゃんの口を手で押さえていた。
今そんなことしたら……
たぶん冷静に話せなくなるから。
大貴「……」
私の手首を掴んで下ろすお兄ちゃんは何も言わずに寂しそうな表情をした。
服に付いた雪を玄関で叩いて、頭を振って髪に付いた雪を落とすお兄ちゃん。
そんな所作にどきどきして視線を逸らした。
これまでだったら、なんでキスすんのやなの? ってお兄ちゃんは不満を漏らしたと思う。
もしかしたら私の方が雰囲気に飲まれてそのまま受け入れてたかもしれない。
でも、今そういうことする時じゃない。
お兄ちゃんに促されて先にお風呂に入った。
温かいシャワーを浴びながら思い出すのはやっぱりさっきの実優先輩とキスしてた光景。
脱衣所から出るとリビングのソファに座ってるお兄ちゃんがいて、何をするわけでもなくボーっと一点を見つめていた。
「お風呂……出たよ?」
そっと近付いて顔を覗き込むと、あぁ…、って。
考え事をしてたみたいで、話しかけた瞬間に目に光が戻った。
大貴「あ……うん。
………もう話してもいい?」
「お兄ちゃん、お風呂は?」
大貴「いや、先に話したい」
おもむろに立ち上がり、自分の部屋から紙袋を持ってきた。
大貴「実優とキスしてんの見た、って言ってたよね?この店の前でしょ?……そこまで覚えてねぇか」
袋から取り出したのはアクセサリーショップの商品カタログ。
「……何これ」
大貴「ちょっといいお値段の……コレ」
そう言ってお兄ちゃんが開いたページには付箋が付いてて、
“ペアリング” の文字が見えた。
大貴「知 念からAの話聞いたの……」
「ちーちゃん?」
大貴「これから話すことは信じてくれなければそれまで。
でも、信じて欲しいから話す。 嫌な思いするかもしれないけど聞いて」
暗い表情で話し始めたお兄ちゃん。
カタログには外国人のカップルが幸せそうにペアリングを見つめる写真が載っていた。
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もちもち(プロフ) - けいとるさん» ありがとうございます!大ちゃんがカッコいいと言って頂けてとても嬉しいです。分岐も楽しんで頂けて幸せです。この先もお楽しみ頂けるよう頑張ります^ ^ (2019年11月20日 22時) (レス) id: e43ac0a964 (このIDを非表示/違反報告)
けいとる - 知念ちゃんの方も読んでます!自分で選べるっていうのが楽しいです!これからも頑張ってください! (2019年11月20日 22時) (レス) id: 28ae4d748b (このIDを非表示/違反報告)
けいとる - はじめまして!この作品とても好きで大ちゃんもカッコイイです! (2019年11月20日 22時) (レス) id: 28ae4d748b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちもち | 作成日時:2019年11月15日 22時