B-41 ページ20
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一瞬、お兄ちゃんと目が合ったけど下に逸らした。
「雪……降ってたから……っ、傘一緒に差そっかなって……塾まで……来てたの」
声が震えてうまくしゃべれなかったけど、泣いてるのを心配されたくなくて、なるべく冷静に事情を説明した。
雪の積もったマンホールの上で滑ったらしくて、大勢の人に踏まれて溶けたそこの雪は茶色く汚れていた。
あぁ……お気に入りの白いコートが。
激しく尻餅をついた結果、泥まみれのコートになった。
大貴「え? そうだったの?
あ〜『傘持ってない』って俺連絡したもんな」
わざわざありがと、って言いながら私のコートについた泥が混ざった茶色の雪を素手で払い落としてくれた。
そんなことより、
今………先輩とキスしてたよね。
ちゃんと別れたんじゃなかったっけ?
「実優先輩と付き合ってたんだね。
……そういうの言って欲しかった」
言って欲しかった…
はっきり……言って欲しかったよ。
『やっぱり妹としてしか見られない』って。
口に出したら急激に心の中で激しくなっていく感情。
顔を上げてお兄ちゃんを睨み付けたら、後ろのコンビニにいたはずの実優先輩はいなくなっていた。
「これまで気を遣って好きなフリしてくれてたんでしょ?」
大貴「……は? お前、何言ってんの」
転んだ私を心配そうに見ていたお兄ちゃんは、急激に顔色を曇らせた。
「辛そうだったもんね。私にかけてくれた言葉は全部嘘なんでしょ」
“好き” とか、“女として見てる” って言葉も全部。
怒りに任せて言いたいこと全部言えるかなって思ったのに、鼻の奥がツンとしてまた涙が溢れてきた。
「実はね…先輩とキスしてるとこ、こないだも見ちゃったんだ。
だからねそうかなって……思ってた」
大貴「……そうかな、ってなに」
お兄ちゃんの声のトーンが凄く低くて。 どんな感情なのか知らないけど不機嫌なのは分かった。
“そうかな” っていうのは……
「“妹” から “彼女” にはなれないんでしょ?」
言い終わったら、ボロボロ涙が零れ落ちた。
始まりも終わりも唐突な恋だった……
滲んだ視界の中、ぼんやり見えたお兄ちゃんはさっきよりも更に不機嫌な様子。
大貴「本当にそう思ってんの……?」
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もちもち(プロフ) - けいとるさん» ありがとうございます!大ちゃんがカッコいいと言って頂けてとても嬉しいです。分岐も楽しんで頂けて幸せです。この先もお楽しみ頂けるよう頑張ります^ ^ (2019年11月20日 22時) (レス) id: e43ac0a964 (このIDを非表示/違反報告)
けいとる - 知念ちゃんの方も読んでます!自分で選べるっていうのが楽しいです!これからも頑張ってください! (2019年11月20日 22時) (レス) id: 28ae4d748b (このIDを非表示/違反報告)
けいとる - はじめまして!この作品とても好きで大ちゃんもカッコイイです! (2019年11月20日 22時) (レス) id: 28ae4d748b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちもち | 作成日時:2019年11月15日 22時