B-33 ページ12
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掃除用具を片付けてカウンターの内側へ入る。
今、図書室には穂花以外の生徒はいなくて、異様な静けさに包まれていた。
実優先輩は私にパソコンの画面を指差して、ここ見て、って言った。
実優「この日の委員記録が無いんだけど、当日の当番表を見たらAちゃんの名前があったから……」
「あ………忘れてました。ごめんなさい」
実優「私もたまに忘れちゃうんだ、どんまいどんまい」
図書委員の仕事のことだった。
何言われるんだろうってビクビクしちゃった。
次、気を付ければだいじょぶだよ! って優しく微笑む先輩。
くしゃって笑うその顔はやっぱり可愛いし、人柄も凄く優しくて良い人で……
この人の魅力に触れれば触れるほど胸が苦しくなる。
実優「大貴とは……良い感じなの?」
「はっ…はい?!」
不意打ちの質問に驚いて、図書室で大きな声を出してしまった。
人差し指を立てて口元に当て、シーッ! って言って笑ってる実優先輩。
「良い感じって……?」
なんて答えるのが正解?
『こないだお兄ちゃんとキスしてました?』って逆に質問したい。
実優「私、謝らないと……」
私の返事を聞かずに話し始める先輩。
実優「大貴とまた付き合い始めたの」
カウンターに積み上がった返却された大量の本。 それを奥へ運びながら話すから表情は見えなかった。
胸が締め付けられて苦しくなった。
数日前にキスしてるのを目撃しちゃった時と同じ痛み。
奥から戻った先輩が私の横へ腰掛ける。
実優「でもね、さっきフラれちゃった」
先輩の首元に、オレンジ色のハートのネックレスが揺れて光って見えた。
実優「『Aが大事だから』 って突き放されちゃったの。 ははっ…」
「え……?」
実優「この数ヶ月……“妹” 想いの優しい “お兄ちゃん” に本当悩まされちゃったな」
「…………」
妹、とか
お兄ちゃん、とか
まるで呪縛みたいだね。もうやめたい。
こんなにも誰かの一言ですぐに不安になるのは……
心の何処かで割り切れていないからかな。
“兄妹” だってこと。
目の前にいるこの魅力的な彼女を見ると、
『お兄ちゃんは私よりこの人といた方が幸せなんだ』
そう思ってるのかもしれない。
好きだからこそ、自信なんてすぐに崩れ去る。
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もちもち(プロフ) - けいとるさん» ありがとうございます!大ちゃんがカッコいいと言って頂けてとても嬉しいです。分岐も楽しんで頂けて幸せです。この先もお楽しみ頂けるよう頑張ります^ ^ (2019年11月20日 22時) (レス) id: e43ac0a964 (このIDを非表示/違反報告)
けいとる - 知念ちゃんの方も読んでます!自分で選べるっていうのが楽しいです!これからも頑張ってください! (2019年11月20日 22時) (レス) id: 28ae4d748b (このIDを非表示/違反報告)
けいとる - はじめまして!この作品とても好きで大ちゃんもカッコイイです! (2019年11月20日 22時) (レス) id: 28ae4d748b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちもち | 作成日時:2019年11月15日 22時