【あんスタ】僕らはずっと待っている

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宗side




渉が叫んだ。





渉《我らが王の…っ、凱旋ですよ、夏目くん……っ…王が、お帰りになるのです！》





とね。


とりあえず、渉は珍しく取り乱していたから控え室へ押し込んでおいたのだよ。


…本当に、珍しい。





宗「…我らが王の凱旋、か」

零「十中八九、Aのことじゃろうが…Aはもう15年も前に亡くなっておるしのぅ……」





あと少しで15回目の法事の時間。


また毎年のように、すすり泣く声や静かに響く鎮魂歌が聞こえるのだと思っていた。


だからこそ、僕たちは席について、その厳かな雰囲気に身を任せようと思っていたのだよ。


…けれど、この年のこの日だけは違った。





奏汰「…なにか、"ざわざわ"していますね〜…」

夏目「……にいさんの大切な日なのニ。どこの誰かナ？」





小僧がイライラとつま先を動かしている。

…わからなくはないけれどね。

誰が…と僕が入口を見た時だった。





『…あのぅ、法事の会場ってここ、ですかね…？』





その声に、多くの人間が立ち上がる。


…酷く聞き覚えのある声だった。


小僧も、目を丸々とさせて"彼"を見ているし、零などは小さく唇を震わせていたから。


濡れ羽色の蓬髪に、蒼い瞳。


白い手足はスラリと伸びていて、心地よいその声は僕たちの耳を打った。





夏目「に、いさん…？にいさん…Aにいさん…！！」





小僧が駆け出す。


その後を追う零や奏汰を抜かして、月永が駆けていった。





『へっ…？』





小僧が声の持ち主に抱きついたようだね。


更にざわめきが広がった。


僕も慌てて五奇人のその後を追ったけれど、ざわめきが今度は困惑へと変わる。





零「…どういう、ことじゃ…？」

奏汰「……A、ですけど…Aじゃ……な、い…？」

レオ「……王、じゃない」





月永がぽつりと呟く。





レオ「けど、おれの…Aだ」





小僧が困惑したように見ている"彼"は、蒼い瞳をまんまると見開いていた。





夏目「……きみ、誰？」





小僧が声を震わせる。


"彼"が、小さな口を開いた。





『俺は＿＿＿』

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