バッドエンド【ci】 ページ14
………………………………おっっっっそい！
Aはいつもの時間が3時間経っても来なかった。
いつもはほんまに時間ぴったりやねん。
この間の30分待ったときくらいやないか？
なんやねん3時間待ちって！
ねずみ帝国か！？
ねずみ帝国でも3時間待ちやったら並ばへんわ！
いらいらと部屋の中を歩き回ってみとるけど、実はめっちゃ焦っとる。
焦っとるのを誤魔化す為に、うろうろ歩き回るんやけど。
やっぱり心の中の漠然とした恐怖？不安？は消せへん。
＿＿＿ヤンキー
頭の中でずっと巡る言葉。
Aの事やから、きっとヤンキーとかに絡まれてしまったんやないか？
あいつらはタチの悪い奴らやって聞いたで。
もしかしたら……もしかしたら……
そう思うといてもたっても居られへんかった。
要塞を飛び出して城下町に向かう。
まずは西や。
懐かしい士官学校への通学路や、その周りの路地をくまなく見て回る。
あかん。
おらん。
ここら辺は比較的人通りも多いから、ここまで探しておらん事は絶対ない。
次は南や。
南には工場が沢山あって、もちろん廃工場も沢山ある。
おるとしたらここや。
人がだんだん少なくなっていく。
それと同時に息もあがっていく。
…頼む、おってくれ！
ci「A！」
バァァン！と開け放たれた扉の向こうには、おらんかった。
…な…なんでや？
いつも開いとる工場なんて、ここくらいしかないやん！
え…？
じゃあ…じゃあAはどこに行ったんや…？
俺はその後も、工場をいくつもまわってAを探し回った。
けど、俺の目にAが映ることはなくて、夜が来た。
飯の時間が過ぎても帰って来おへん俺を心配したのか、トントンさんからインカムで通信が入る。
もう少し、と駄々をこねたけれど、帰ってこいと諭され、俺は渋々要塞に帰った。
その翌日も、早くから起きて探しに行ったんやけど…
結局Aはいくら探しても無理やった。
俺は、Aは急に引っ越してしまったんだ、と思うことにした。
急やったから、俺に知らせる前に行ってしまったんやと。
それからの俺は、ただただなんとなく過ごした。
心のどこかが抜け落ちたような気分になりながら。
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作者名：魚
| 作成日時：2020年2月16日 18時
