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gr「…Aは……死んだんや…」
小さく震える肩は、それが事実だと物語っていて。
ni「…う…嘘や………嘘や！！！」
俺は認めたくなくて、総統室を飛び出した。
行きあった幹部が声をかけてくる。
でも、そんなの気にならずに。
肺が焼ききれるほどに走った。
死ぬほど走った。
ついたのは、黒焦げになった俺らの街。
Aの実家があった場所。
ni「A！おじさん、おばさん！」
俺は声を張り上げた。
でも、誰もいなくて。
復興し始めた街を行き交う人が、俺を奇妙な瞳で見詰める。
「あれ？兄さん」
声に振り返ると、そこにいたのは、1番上の妹。
Aが姉さんと呼んで慕っていた妹だった。
俺が何をしたいのかを悟った妹は、悲しげに瞳を伏せた。
「ちょうどよかった。ついてきて」
俺は妹の後を追う。
妹は、南の森に入っていった。
しばらく歩くと、小さな湖に出た。
そのほとりには3つの石碑。
真ん中の石碑の傍にしゃがんだ妹は、手に持っていた花を3つの石碑の前に並べた。
「よかったねぇ、A。兄さん帰ってきたで？」
真ん中の石碑には、"A"と刻んであった。
俺はふらふらと近づいて、その石碑の前に崩れ落ちた。
「Aな、ずっと、ずぅっと兄さんの事待ってたんやで…？それなのに…ミサイルが…」
ミサイルは、ちょうどAの実家付近に落ちたらしい。
その時妹達は違う場所にみんなおって、助かったそうだ。
妹は、それだけ言うと帰っていった。
俺の目から溢れ出した涙が、石碑の前の地面を点々と濡らしていく。
ni「すき…やったんや…っ………Aが…ずっとずっと………」
俺の声は涙と共に溢れ出して、ゆっくりと地面に染み込んでいった。
ずっと、傍におると思ってた。
好きだって自覚してた。
でも、俺はなかなか帰ってこられないから。
いつかこの物資調達班から異動して、ずっと国にいれるようになったら。
そしたら、気持ちを伝えようって思っとった。
＿＿＿当たり前が、当たり前に続くと思ってたんや。
俺はその日、涙が枯れ果てるまで、石碑の前で泣いていた。
戻らぬ時間を嘆いて。
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作者名：魚
| 作成日時：2020年2月16日 18時
