総統閣下と氷の女【gr】 (ページ7)

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目の前に広がるのはグルッペンの整った顔。

少し長めの金髪が私の頬に落ちてくる。

………擽ったい。

グルッペンの長い指が私の首輪を掬った。

いつの間にか白い手袋は外していて、少し骨ばった指にどきりとする。

gr「…この首輪にはGPSが埋め込まれている」

光のない赤の瞳で見詰められる。

ほんの少し息が詰まった。

首筋に顔を埋められて、かかる息が擽ったい。

gr「❃国からの戦利品だったんだが………残していて正解だったな」

バリトンの声に耳元で言われて、腰骨がぞくりと甘く痺れる。

嫌だ、と抵抗したかったけど、両手首はグルッペンにしっかりと握られていて、動かすことは出来ない。

私の体は、何かの呪術にかかったように動かなかった。

『っ！？』

突然、私の首に激痛が走った。

グルッペンの歯が私の首筋を抉るのと、口から漏れる熱い息が首にかかる感覚が襲ってきて、身を捩った。

『や……っ…ぁ！』

なんとか声を捻り出したけれど、グルッペンには届かない。

噛んだ跡を舐められて、余計に腰骨が震える。

またグルッペンの赤い瞳が目の前にあって、私の涙が溜まった目が映った。

gr「お前も、俺を置いていくのか？母さんのように、俺を1人にするのか…？」

狂ったような目に、私の心臓は縮んだ。

…駄目だ。

こいつは、駄目だ。

グルッペンは何も言わずに体を起こし、手袋をはめて帰って行った。

なんとなく首に指を這わせた。

器用にも、首輪にかからない場所に噛み跡を残していってくれたらしい。

…隠せないじゃないか、これじゃあ。

私は深く息をついて、布団に潜り込んだ。

灯りを消すのは嫌なんだ。

暗いのが嫌いだから。

でもいくら目を瞑っても、何度寝返りをうっても、あの狂気に満ちたグルッペンの瞳が消えることはなくて、私は眠れなかった。