総統閣下と氷の女【gr】 (ページ5)

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Aside

私はグルッペンが嫌いだ。

あの奴隷のような日々から救ってくれたのは感謝してるとも。

でも、嫌いだ。

あいつは私のこの腕を面白いって言った。

……っ………何が面白いものか！

私はこの体質のせいで棄てられたんだ！

生まれ落ちただけで忌み子と言われ、奴隷商に売られたんだ……！

どうせお前も、これまでの主人のように観賞用にしか思っていないんだろう？

どうせ飽きたらまた棄てるんだろう！？

………逃げなきゃ。

逃げて、私だけの幸せを掴まなきゃ。

誰も"愛"なんてくれない。

"愛"をくれる人なんていない。

ここに居ても、また傷つくだけだ。

きょろきょろと部屋を見渡す。

…よし、グルッペンは今ここにいない。

逃げるなら今だ。

私は窓を開け放った。

窓の下の枠に右手を置いて頭にイメージする。

その通りに氷が形取っていく。

出来たのは長い長い滑り台。

ここは4階。

………高いな。

でも行くしかない。

恐る恐る足をつけて、一気に滑り降りた。

…っ…………スピードが凄い！！

怖い…！

滑り台から降りても勢いは止まらずに、前にあった生垣に突っ込む。

うえ…口の中に葉っぱ入った…

…あとはこの高い壁か。

目の前にあるのは要塞をぐるりと取り囲む高い壁。

ま、こんなの楽の勝なんだけど。

壁に右手をついて梯子をイメージする。

私の足元から一気に氷が這い上がって、壁に沿うような梯子が出来た。

………まぁた高いな。

急いで登って、反対にも梯子を作って下りる。

よし、完璧！

私はそのまま、雑踏の中に踏み出した。

さあ、ここからが私の本当の人生だ！