総統閣下と氷の女【gr】 (ページ15)

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【氷の女冷たい肌で誘うは天国なりや地獄なりや

氷が溶けて消えゆくは精霊の加護なり

ニュニホプラントを敬えば氷の女は雪に消ゆ】

em「これ、そのまま読めば氷の女が悪だと言っているんですが、深く読むとこうなるんです」

【氷の女が我らを誘うのは、天国なのか、地獄なのか。

村の氷が溶けていくのは、精霊の加護のおかげである。

さあ、ニュニホプラントを敬いなさい。

そうすれば、氷の巫女は雪に変わり、村に水をもたらすだろう】

em「つまり、水不足を解決するためには彼女が必要不可欠なんです。

けれど、さっき彼女が言っていた部分。

あれを唱える度に彼女は死に近づきます………知らなくて先程何度か唱えてしまいました」

すみません、と深く頭を下げるエーミールに納得する。

なるほど、さっき連続で爆ぜたのはそのせいか。

em「助けるためには、私の村にある祠で、今の全文を1日5回唱えて三日三晩踊らなければなりません」

gr「エーミールの村…確か北だったな。そこに行くのはまだいい。だが踊りは？俺もAも知らないぞ」

em「それは大丈夫です。踊りは私が。村の祭りで伝えられてきましたから」

………エーミールが踊るのか？

俺より年上のエーミールが？

…大丈夫か？

でも、エーミールが踊るのを見てみたい気持ちも確かにある。

だが三日三晩…4日間もここを離れるのか…

トン氏に報告すると面倒なので、近くにあった紙にメモを残しておく。

これでいいだろ。

em「とにかく、今はAさん、でしたね。彼女を探さなくては…どこか心当たりありますか？」

心当たり……

ない事もないな。

俺は何も言わずに飛び出した。

エーミールが慌てて追いかけてくる。

向かった先は要塞の森の中。

明らかに地面が一方向だけ凍っている。

ビンゴだ。

その方向に進んでいくにつれて気温がぐんぐん下がっていく。

それに伴って森の木々は白くなっている。

gr「A」

凍りついた木々の真ん中にAが座り込んでいた。

周りの木々からは大きな氷柱が何本も垂れ下がっていて、どこか綺麗だった。

まるでAの心を表しているような。

『ぐる………ぺ…』

ぼろぼろと流れる涙は、頬を流れ落ちる前に凍ってい
て、頬が真っ赤で痛々しかった。

俺は自分のコートで、あの日のようにAを包んだ。

gr「行こう、お前は俺が助ける」