総統閣下と氷の女【gr】 (ページ13)

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↓ ページ13

em「氷の女冷たい肌で誘うは天国なりや地獄なりや…………」

何度かこの文言を呟く。

…これが何かの鍵になっていると思うんだが…

なんだ…考えろ。

頭をがしがしとかいて、ルーズリーフに色々書き込んでは丸めて捨て、書いては捨てを繰り返した。

…次で最後の文献。

これでもいい情報がなかったら、地元に帰って漁ろうか。

そう思いながら文献を開ける。

ガタッと立ち上がった。

em「っ…あった！」

文献にあったのは、あの文言の後半だった。

【氷の女冷たい肌で誘うは天国なりや地獄なりや

氷が溶けて消えゆくは精霊の加護なり

ニュニホプラントを敬えば氷の女は雪に消ゆ】

ま…て………

どういう事だ？

ニュニホプラントを敬えば、氷の女は雪に消ゆ…？

この文言は、どちらかと言えば彼女の村寄りだ。

氷の女が悪なように書かれている。

焦って次の文章を見ると、訳が書いてあった。

………………そういうことか。

その文献には、私の村と少女の村についても書いてあった。

2つの村は元は1つだったらしい。

けれど、ニュニホプラントに対する価値観から袂を分かち、2つの村になった。

私の村では善と。

少女の村では悪と。

そして、あの文言。

あれは私も彼女も伝承の句だと思っていた。

語り継がれてきた文章だと思っていたのだ。

けれど、あれは伝承の句ではなく、ただの呪文。

前半はただあの氷を割るための呪文らしい。

全てを読むことで、呪力が相殺されてただの文章になる。

そして＿＿＿

＿＿＿口にするたびにあの氷は割れていく。

つまり。

私は文献を抱えて総統室に走り出した。

つまり、私は彼女を殺そうとしていたのだ。