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zm「はーーっ……めっちゃおもろかった!」
『…………………』
zm「そう怒らんといてや、な?」
ゾムが私の顔を覗き込んで、目を見開いた。
同時に私に隠すようにして抱き締めて、エーミールを睨みつける。
ぶわっとゾムから殺気が膨れ上がって、図書館に満ちた。
『ぞ…ゾム?』
zm「お前、なんや。姉ちゃんをどうするつもりや」
地を這うような低い声。
まるで動物が威嚇しているような、そんな感じ。
私は気が付いた。
ゾムは何か誤解しているって。
だってエーミールは私に協力してくれている。
さっきだって、私が麒麟だと言うことは内緒にすると約束してくれたんだ。
まあ、人との口約束ほど当てにならないものはないんだがな。
でも、私は信じてみたい。
一生懸命私の為に文献を探してくれているエーミールを。
だから私は、私を抱きしめるゾムの腕を優しく叩いた。
『ゾム、エーミールは大丈夫だよ』
zm「んなわけあるか。姉ちゃんを騙せても俺は騙せへんぞエミさん」
未だにエーミールを睨みつけて私をきつく抱きしめる。
それに苦笑しつつ、心底安心した。
ああ、この子だけは本当に私を守ってくれるんだなって。
実際、エーミールは味方だと言ったものの信用はしていない。
だっていつ裏切るかわからないじゃないか。
だから包帯を常に外して発破をかけているんだが。
em「聞いてくださいゾムさん。
私はあなたのお姉さんを売り飛ばそうだなんて考えません。
彼女が麒麟だと言うことも決して人に言わないと誓約しました。
私は彼女を救いたい」
エーミールが至極真剣な顔でゾムを見た。
しばらく沈黙が流れる。
zm「姉ちゃんはどう思う」
ゾムが小さく呟いた。
多分それは私にしか聞こえない。
『…信用はしない。いつでも切れるようにする。いっその事利用させてもらうつもりだ』
私もぼそっと呟く。
ふと思うんだが、私って結構心無いよな。
ゾムが小さく頷いた。
zm「…姉ちゃんがエミさんを大丈夫だって言っとるから、俺も信用する。
ただ、何かあれば即切るからな」
em「ええ、勿論です」
エーミールがにっこりと笑った。
ゾムの腕が私を離す。
それに少し安心して、私は知らずに詰めていた息を吐いた。
そこからはなんだか少しだけ空気が緩んで、3人で文献を探し始めた。
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魚(プロフ) - miiさん» はう...!ありがとうございます…! (2020年10月26日 16時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - 私がこの世界に入り、最初に見た作品が魚さんの作品でした!とても面白く、今でも大好きです!この話が完結したら活動休止するのはさみしいですが、これからも頑張って下さい! (2020年10月23日 16時) (レス) id: fea92a175e (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 麻痺さん» ありがとうございます!今しばらくお待ちください… (2020年8月23日 21時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
麻痺 - 好きすぎる!更新楽しみに待ってますー! (2020年8月22日 2時) (レス) id: dce11f68c6 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - アカツキさん» ありがとうございます〜! (2020年7月7日 7時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2020年2月17日 9時