カタツバキの花を君に *Kei.I* (ページ40)

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合宿の日。

俺からの電話でドキドキしたなんていうAちゃんに俺がドキドキしちゃって。

大ちゃんの事が気になりつつもAちゃんをデートに誘ってしまった。

暑いし外に出たくないけど、母さんに教えてもらった水族館のペンギンのお散歩。

Aちゃん好きそー。なんて思ってたらカップルは入場券半額！だなんて、誘うしかないって思った。

カップルです。と答えた俺に驚いて慌てて財布を出そうとするAちゃん。

さっと入場券を払って彼女の手を引くと

伊野尾くんごめんね、お金！なんて500円玉を差し出してくる。

「いーの。俺が誘ったんだし。ね？」

「でも。だめだよ！」

「も～。」

変に真面目なこの子。

だめ！と500円を握りしめて膨れっ面。

そんな顔も可愛くてつい笑ってしまう。

「じゃあ、今度ジュース買ってよ、ね？」

「ジュース？ええ……」

ちょっと納得してなさそうだったけど渋々財布にしまって絶対だからね！なんて言ってた。

ゲートのお兄さんにチケットを渡して中に入る。

冷房が効いていて少し中は冷えていた。

「伊野尾くん、見て！この魚！」

「すごい！綺麗！クラゲだって！」

「伊野尾くん！アシカ！アシカがいるよ！」

「あはは、この魚にへーってなってる！」

広い水族館の中。

一つ一つの水槽を覗く君。

小学生みたいにはしゃぐ君が、

どうしようもなく好きになる。