カタツバキの花を君に *Kei.I* (ページ23)

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「人多いなぁ……母さんどこだろ」

なんとか試合を行っている体育館に入ったけど試合待ちのチームやら観客やらですごい人だった。

「Aちゃーん！だいすけ！」

割と近めの席から手を振ってくれたので2人でその場所に行く。

目の前のコートでうちの高校がアップをしていた。

「だいきー！頑張んなさいー！」

おばさんが叫ぶとコートの端の方でチームメイトと話していた大ちゃんがこっちに気付いて走ってきた。

「決勝だけじゃなかったのかよ！」

「サプライズだよ！その方が嬉しいだろ？」

ねー？なんて私に共感を求めてくるだいすけくん。

「がんばれ！だいちゃん！」

拳を前に突き出して言うと

少し驚いた顔をしてから、すぐ同じように拳をだして

「ったりめぇーだろ！」

なんて笑ってみんなの元へ戻った。

ピーッ

試合終了のホイッスルが鳴る。

第1試合目は圧倒的な点差で勝っていた。

だいちゃんはスタメンで周りより小さい体だけどその小ささを生かして死角をついたり、持ち前のジャンプ力で点を決めたりしていた。

……少し、意外だったのが伊野尾くん。

ベンチスタートだったのだけれど、途中から入ったと思えばしなやかな動きでバンバンスリーを決めていた。

あまり動いてるタイプではなかったけど、

的確に周りを見て動いていた。

いつもへらへらしてるから意外…。

「次の試合…お昼からねー。どーする？」

「Aちゃん弁当作ってきたんだって」

「あ、おばさんだいちゃんの分だけ作って忘れてたってだいちゃんから聞いてたので…」

「あら大貴そんなこと言ったの？ほんとに、もー、ごめんなさいね」

「全然！いつもおばさんたいへんそうだから…」

「なんていいこなの…！！」

朝方、母さん兄ちゃんと自分の分の弁当忘れてたけど大丈夫かなって心配してるだいちゃんからのメールが来てて急いで作った。

自信はちっともないんだけど…

「かあさん、にいちゃん！A！」

3人で座ろうと思ったらふと後ろから声をかけられた。