Lesson.3 ページ4
一織が言ったように、授業には全くと言っていい程、集中出来なかった。
もし一織がいたら、怒られるの間違いなしだ。
「ただいま〜」
玄関を開けると、パタパタと慌ててるお母さんが見えた。
「お母さん？」
「あ、A帰ってきたの？お母さん今からちょっと出掛けてくるわね」
「何で？」
「おばあちゃんに呼ばれてるのよ。すぐ帰ってこれると思うから」
「わかったー」
お母さんにそう返事をして、自室に向かう。
今日は課題がたくさん出たから、早めに取り掛からないと。
「あ、そうそう。三月くんと一織くんがお店に来てほしいって言ってたわよ」
「へ？店？」
お母さんはやっぱり最後まで慌ただしく、行ってきますと言って、家を出て行った。
お店、暫く行ってなかったなぁ。
大好きなケーキも、クッキーも、思い出してしまうから、行かないようにしてた。
早く会いたいと気持ちは膨らんでたけど、まずは落ち着いて、課題を終わらせてからと、机に向かうことにした。
「おーい、鍵開いてるぞー？」
そう声が聞こえて、元気に駆け上がる足音が聞こえた。
ひょこっと明るい髪色が明るい髪色が見えて、三月がドアから顔を覗かせた。
「三月」
「無事か？お前なー、鍵くらい締めとけよ。何かあってからじゃ遅いぞ」
「忘れてた！ごめんー」
「ん？課題か？」
「そうー。たくさん出されちゃって」
「マジか。それなら一織に来てもらえばよかったな」
「い、いいよ！一織が来たら怒られるの分かってるから！」
机に向き直って、目の前の課題を見る。まだ全然終わってないけど、三月を待たしちゃうし……。
すると、三月が私の頭にポンッと手を乗せた。
「んじゃあ、ちゃんと終わらせてからな。一旦戻るわ。一織と待ってるな」
くしゃくしゃと髪を撫でられて、思わず膨れっ面で三月を見上げると、頬を人差し指で突かれた。
「そんな顔すんなよ。じゃあな！あ、鍵締めとけよ」
頷いて、三月と一緒に玄関に向かう。彼を見送ると、言われた通りに鍵を締めて、ヨシッと気合いを入れた。
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作者名：まいまい | 作成日時：2018年1月18日 23時
