風柱、行方不明につき。【鬼滅の刃】

捜索拾捌 ページ18

そう思って走る姿勢に切りかえたのはいいものの、グーちゃんまだグエグエ鳴いてまして。


「ねえ！！グーちゃん逃げようよ！！！」


逃亡の話を持ちかけるとなんとグーちゃんの見事体当たりが命中し、あたし少し吹っ飛びました。




いってえな！何すんだよ！！！

カラスもカーカー言うな！！





「グエ」





は？逃げろって？？？？

だからグーちゃんも一緒に………




けれどグーちゃんは鬼があたしの所へ来ないように、と羽をバサバサしていた。



音でわかった。


そんなの効果あるの？と思った人も少なくないはず。


なんと、これ効果あったと思う。

さすが風鳥。
羽をバサバサはばたかせる度に強風が吹いていた。気がする。


砂埃が立っていそうだし葉っぱは隣町まで飛んでいきそうな勢い。


見えないけど。






「なんだこの鳥くそウザいなぁ……や！め！ろ！」



鬼も負けじと反発…したんだと思う。
その言葉のあとにグーちゃんの苦しそうな声がした。





「グゥッ……」


「ぐ、グーちゃん、に、逃げようよ……」




苦しそうな声を聞いて思わず声をかけてしまった。優しい乙女だと察してよ…。



けれど私の心配を投げ捨てるグーちゃんは大きな声で鳴き声を私にあびせた。




「グエッ！！！！」


「は、はい！！！！」





多分早く逃げろや豚足って絶対怒鳴られました。







なのでいち早く退散。








新月になる前夜、真っ暗な森を駆ける。
腰には風柱様の刀。


そして木の幹にすっ転ぶあたし。




「いったいなぁ、もう………」


体を起こしながらふと新月の話を思い出した。




“新月は願い事が叶うらしい”


と。お父さんが言ってたっけ。
お父さんそういう昔話大好きな人でよく聞かされた。



新月まであと何分？？


思い出していると懐から何か落ちた。
それらしきものを拾うと、あ、これ蝋燭。



………。



「ちょ、ちょっとだけなら……グーちゃん心配だもん………」







そう言ってあたしは蝋燭に火をつけた。

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