捜索拾陸 ページ16
新月。
満月があるように真っ暗な世界になる日だってある。
電気も普及し始めの大正時代。
こんな森の中に街頭なんてあるはずがない。
「…グーちゃん、いる?」
「グアッ」
こうして少し歩くごとに確認していかないと。
何処に誰がいるのか分からない。
「よかったあ、居なくならないでね?」
こんなに暗いと隣にいるはずのグーちゃんでさえ遠くへ行ってしまったのではないか、と錯覚してしまう。
蝋燭持ってるけど、風が吹けば消えちゃうじゃん………。
火の用心だよ………。
え???提灯????
そんなのグーちゃんがつついて壊したよ!!!
激おこだよ!!!!!
「………グーちゃん?」
五秒おきくらいに確かめてます。
怖いんです。
「グアッッッ!!!!!」
うるせぇよって???!?
だってぇぇぇぇ、怖いんだもんんんん!!!
ビクビクしながら歩くあたし。
グーちゃんウザくてごめんね!!!
「うぅ……グーちゃん、ちゃんと傍にいてよ?」
「……グゥ……」
そんな仕方なくみたいな言い方…
まぁいいけどっ!
いてくれるだけで心強いからねっっ!!!
………鳥に心強さを感じる人間って……。
我に返ると本当に自分人間やってて恥ずかしくなった。
暫く真っ暗な中歩いていると、横でガサガサ音がした。
「ひっっっ、グーちゃん??グーちゃんなの????」
グーちゃんであってほしい。切実に。
「グゥ…」
違うって??は?じゃあ何?
このガサゴソ何???
音が段々近づいてくる。
真っ暗闇というだけでも恐怖なのだが。
怖くなりグーちゃんを触ろうと闇雲に手を伸ばす。
するとと何かに当たった。
グーちゃんだよねこれ。
「グーちゃん?!よかったあ、あたし、怖くて…」
ヌメッとした。
「ぬっっっ!?!?!?」
……………。
すぐさま手を離した。
は????ヌメ????
グーちゃんはフサフサだぞ???
初めてナマコを触った時程の驚きはなかった。
急だったことと、一瞬の思考停止。
そして再稼働した頭で考えた。
「す、すみません、お宅…誰ですか…」
聞くしかあるまい!と考えた馬鹿なあたし。
いや馬鹿でもないか。
聞いた数秒後何かが近づいた気配がして、心臓の鼓動が早まった。
「ハッ、馬鹿な人間だなァ。新月の夜は出歩くなとママに教わらなかったか?」
アッ。これ駄目なやつだ。
794人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やぁ - 全部の作品繋がってますよね?!やばい!まじすごい!もう一周してきますヾ(´▽`*)ゝ (2021年7月31日 14時) (レス) id: d87333c5a5 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - キュンキュンしました!実弥の、蛙の王子様ならぬグーちゃんの王子様!トテトテついてくるグーちゃんは可愛いし、実弥に戻ったらすごくかっこいいし!物語の内容も面白いし、最高です!実弥に恋してしまいそうです、どうしよう笑!幸せな時間をありがとうございました! (2021年7月23日 12時) (レス) id: 6a2842892c (このIDを非表示/違反報告)
赤目のなりすまし(プロフ) - 柿ピー。さん» 柿ピー。様、そのお言葉とても嬉しいです………(;;)読んでくださってありがとうございました(;;) (2019年10月23日 1時) (レス) id: 52f4f26d76 (このIDを非表示/違反報告)
赤目のなりすまし(プロフ) - レンさん» レン様見ていただきありがとうございました!!!これからも頑張ります〜〜〜(;;) (2019年10月23日 1時) (レス) id: 52f4f26d76 (このIDを非表示/違反報告)
柿ピー。 - 神作品... (2019年10月19日 14時) (レス) id: 49a5bdcfae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:赤目のなりすまし | 作者ホームページ:http://instagram.com/nuka___1111
作成日時:2019年9月19日 21時