【文スト】チェロの音はもういいから！！【ドストエフスキー】

二十二曲目 ページ22

昼ご飯から今の今まで魔人はずっとチェロを弾いていた。




自分が｢フェージャのことをもっとよく知りたい｣などとなにか弱みがないか探りをいれたバツが当たった。


鑑賞会が終わったあと、アンコールが始まりそうだったので、慌てて止めた



｢あたし、お風呂に入りたくてっっ！！！｣


と。





｢着替えを持ってきました


シャワーはぼくが手伝いましょうか｣





さっきまで5時間の鑑賞会を開いていた奴の言葉ではない。




｢ありがとう、結構です｣




ある程度のスルースキルを磨くべきだと気づいたのは数時間前。



こっちは予想もしていなかった鑑賞会が開かれてげんなりしているのだ。


別にチェロが嫌いなわけではない。

長い。ただただ長かった。






(もうちょい短くしてくれれば集中力だって持った)









｢最後に弾いた曲は、アントニン・ドヴォルザークの『チェロ協奏曲 ロ短調 作品104』なんですが、｣




｢あ、はい｣




誰、なんて聞いてもわかりっこないだろうから喋っている言葉を右耳から左耳へ通す技も磨くことにした。




(早くシャワー浴びたいんだけど)






急に解説しだす魔人を放っておいて、自分だけシャワーに行くとしても、途中でこの魔人が突撃してきそうなので大人しくしておいた。

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