【文スト】チェロの音はもういいから！！【ドストエフスキー】

十七曲目 ページ17

｢まだサプライズがあります｣


｢……………｣




(もう…要らない…)



もう、疲れてしまった。

もう、この男のことを考えたくない。

もう、家に帰りたい。





(………今のあたし絶対神経衰弱超弱い)




｢この薔薇は誰産か気になるでしょう？｣


｢………｣


(いや結構です)




いつもの癖が悪いところで出た瞬間だ。

もちろんそれにAは気づいていないが。







｢この人、ご存知でしょう？｣




知らないよ。

なんて適当なことを言いたいが、写真まで用意してくれているので覗くくらいしようか、と呑気なお花畑の自分の脳をめちゃくちゃにしたい。





なぜなら___




｢……ねえ、その人、｣





この薔薇は_____




｢なんで、知ってるの、｣









____昔、私のことを虐めていた人だったから。






そこから記憶が無い。








吐いて吐いて吐いて吐いて吐いて吐いて吐いて、疲れて、死んだように、眠りに落ちた。




きっとそう。









目覚めて起き上がると、鉄格子の先に『魔人』が座っていた。









(ここから、逃げ出してやる)





妖しい紫眼を光らせて、囚われの自分を愛おしく見据えていた

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