甘くて甘い、【歌い手】【短編集】

猫【mfmf】 ページ27

『…まふくんって猫みたいだよね』


唐突にそう口にしてみた。


どこが、と言えば難しいが簡単に言うのであれば気分屋なところ…とか。


「そんな事ないよ〜？」なんて言いながらゆたゆたと歩いてこられても説得力はない。


そのまま無言で抱き上げれてソファに座り直す。

かと思えば頬をさらりと撫でられてちゅ、とキスをされ、頭を撫でれば気持ちよさそうに目を細める。


『…まふくん髪さらさら』

「Aは僕の髪、好き？」

『うん、』

「そっか。…Aの髪、僕好きなんだよね」


ちゅ、ちゅ、と髪の毛にもキスを落とされる。


『まふくん、やだよ』

「やじゃないでしょ」


整った綺麗な顔が近すぎて頬が熱くなるけど、嫌じゃない。それも事実だった。


「A、」


ふと名前を呼ばれ顔を向けると目の前には長い睫毛と閉じられた彼の瞳、

唇にはふわりとした感触。


『…ん、』

「…ご馳走様、作業してくる！」


額にキスを落とし軽くなった足取りで作業部屋へと入っていく彼はやっぱり気まぐれで、猫みたいだった。


fin.

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