甘くて甘い、【歌い手】【短編集】

かまって【mfmf】 ページ12

かまってちょーだい、なんて曲を彼は歌う。


にも関わらず私にかまって、と言ってきたことなんて1度もない。


彼はメンヘラだのなんだの言っておいてかなりあっさりしていてベタベタなんてしないタイプだと思う。


そんな彼は今もソファに座ってペットのいろはちゃんを撫で続けている。


こうなってしまった彼に私には何も言えることはないのでキッチンへ向かおうと席を立つ


「…A？どこいくの？」

『…え、キッチン行くだけだよ』

「そっか」


おかしい。いつもならこんなこと聞いてこないのに。


私は彼を探りたくて質問をする。


『ねぇまふコーヒー飲む？』

「うん。…あ、でもAが飲まないならいいよ」

『…うん、…？』


やっぱりおかしい。こんなに私に色々と気使ってくれる人だったっけ、気にかけてくれてたっけ。


一旦そんなモヤモヤは全部取り払ってコーヒーメーカーのスイッチを入れた。


･


その後は今日が休日ということもあり2人でリビングでダラダラとすごしていた。


ダラダラ、と言ってもよくあるカップルのようにくっついている訳でもなく、2人とも離れたところで別々のことをしている。


私にとってこの時間はとても安心する時間でもある。

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