取り戻せ、青い春。 (ページ16)

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Aside

てつやさん？ととしみつさん？には「じゃあ、頑張れよ！」って言われてわかれた。

り「ごめんね？怖かったでしょ笑」

正直言うと怖いよりも変だと思った。

でも面白そうな友達だと思った。

『大丈夫だよ！楽しそうだね。』

少し話していると目の前にタクシーが止まり、扉が開いた。

私達は今日だけでもだいぶ仲良くなり、冗談を言い合うくらいにはなった。

り「お先にどうぞ、お姫様。」

ほらね。

『あら、どうもありがとう。王子様。』

すっと慣れたように手を取られ、エスコートされる。まあタクシーだけど…笑

り「もう家帰る？」

帰りたくない。そう思ったけれどりょうさんは明日も仕事があるし。

『うん。帰ろうかな。』

するとりょうさんは少し寂しそうな表情をした。

り「そ、っか。俺も明日仕事あるし、帰ろうか。」

先に私の家に寄ってから六本木の方に帰るようで、住所を言ってその方面にタクシーが走った。

窓の外を眺めていると左手に温もりを感じた。

何か、なんて見なくてもわかった。

その温もりは指の間に入り込み、キュッと結ばれた。

り「手繋ぐの、嫌？」

こんなこと初めてで恥ずかしくて何も言えなかった。私はただ首を横に振り、自分も握り返した。

今、私はどんな顔をしてるんだろう。

りょうさんの方を見ると少し照れたような顔をしていた。

どのくらいの時間手を繋いでいただろう、段々と窓から見える景色が見覚えのある街になり、家が近いことを知らせる。

「到着です。」という言葉と共にタクシーの扉が開く。

キュッと結ばれていた手はするりとほどけ、左手から温もりが零れ、段々と体温が下がる。

私がタクシーをおりるとりょうさんもおりて来てくれた。

り「またね。今日はありがとう。」

『うん。またね。こちらこそ沢山ありがとう。楽しかった！』

するとりょうさんはまた私の頭に手を置き、ポンポンと撫でてくれた。

りょうさんはまたタクシーに乗り込み、来た道とは反対方向に走っていった。

段々と小さくなるタクシーを見つめ、楽しかったなぁ、と思った。

りょうさんはずっとかっこよくて優しかった。さっきまで一緒にいたのにもう会いたいと思ってしまった。

玄関の扉を開けて『ただいまー』と言うとニヤニヤした妹が近付いてきた。