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「平野くんってさ」
『名前で呼んでって何度言ったら分かるの?』
私の言葉を遮るように
低く重いトーンで彼の口元から発された言葉
「…ごめん。紫耀くん」
『君付けもいらないんだけどなあ』
「それはちょっと無理」
『んで?さっきの続きは?』
「忘れた」
『委員長って時々ばかだよね』
そう言って鼻で笑う彼に視線を向ける
ばかにばかって言われるだなんて屈辱だ
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「…何書いてんの」
『何だと思う?』
私の国語のノートの隅っこに
デカデカと大きく書かれた謎のイラスト
耳がついていて、髭が生えてて目元が黒くて…
こんなこと言ったらダメなのは分かってるけど
私の目には妖怪にしか見えない
「あ、分かった。レッサーパンダでしょ」
『ぶっぷー』
「じゃあパンダ」
『残念違いまーす』
「紫耀くんのイラストが下手すぎるんだよ」
『は〜、委員長は絵心が分かってないなあ』
ヤレヤレと呆れた様子で首を傾げながら
答え合わせ
『犬だよ。ワンコ』
「ワンコ…」
答えを聞いたあともう1度
目を凝らしてイラストをじっと見つめたけれど
やっぱりそこに書かれているのは
ぎりぎりレッサーパンダに見える妖怪で
「あのさ、犬見た事ある?」
『普通に家で飼ってるけど』
「本当に?ちゃんと犬飼ってる?妖怪じゃない?」
『めっちゃ犬だよ。めっちゃ毛生えてるしめっちゃ尻尾あるし、めっちゃ可愛い』
「ごめん…絵のセンス独特すぎて私には理解出来ないっぽい」
自慢げに愛犬の話をする紫耀くんを見た時に
視線の片隅に映る妖怪のイラストが
ほんの少しだけ奇妙な笑みを浮かべていた
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むーちょ(プロフ) - ななみさん» そのようなお言葉を頂けてとても嬉しく思います。後悔の無いよう自分の持てる限りの力を発揮し、来月には笑顔でここに戻って来れられるように頑張りたいと思います…!少しお時間を頂く形とはなってしまいますが、最後までお付き合い頂けると嬉しいです(^^) (2020年1月14日 1時) (レス) id: f803838bc4 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - むーちょさん、素敵な作品を読ませていただいてありがとうございます。受験生なんですね。お勉強大変でしょうが、春には希望の場所で新しいスタートが迎えられますように。体調を整えて力が発揮できますように…祈っております。 (2020年1月14日 0時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むーちょ | 作成日時:2019年11月15日 22時