愛されたいのは 2

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お店に戻りいつものようにキッチンでサロンエプロンをつけていると、北山さんが来た。


「どこ行ってたの？」

「本屋さん」


なんて無愛想に答えちゃったんだろう。

でも北山さんはそんなの全然気にしてない感じで。

キッチンから出てカウンターにあるシンクの掃除をしていると、すすっと横に来てほっぺをツンってする。


「何怒ってんだよーーー」

「もう！怒ってないですって」

「さっきは怒ってただろー？」

「…さっきはムカついてました。
でも本屋で藤ヶ谷さんに会ったから機嫌直りました」

「ふーん」


って太輔さんの名前を出すと、ふいってどっか行っちゃう。

よくわかんないな、北山さんって。









夜の営業になり、少しずつお客さんも増えてきた頃に、女性一人で来店してきたショートヘアの人。

あれ…この人…

そうだ、このピアス間違いない。

あの時見た女の人だ。


「ひろー！来たよー」

「おー、座って、座って！」


ってカウンターの方に案内した。

それからはその人が帰るまで、北山さんはずっとカウンターにいて、お酒の注文が入る度に作ってはいたけど、

ほぼずっとその人と話してた。

まぁ、彼女なんだから当たり前なんだろうけど、めちゃくちゃ嬉しそうな顔するじゃん。









今日はお客さんが多かったから、終電を逃してしまったけど、また北山さんが送ってくれるっていうから、丁寧にお断りした。


「なんで？」

「そーだよ、Aちゃん！危ないからきたやんに送ってもらいなよ」


って俊くん余計なお世話だし。


「ほらいくぞ！」


って強引に腕を引っ張られて、仕方なく車に乗り込んだ。

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