愛されたいのは

32 ページ32

*



「もっと俺の事、意識して欲しいな」

って顎に手を添えられ、少し太輔さんの方に顔を動かされると、そのまま唇を重ねられた。

突然のキスに目を閉じる事も忘れてた。

ゆっくりその唇が離れ、帰ろうかって言う太輔さんが何を思ってるのかわからないけど、

私の心を掴み始めてる事には間違いないと思った。









家に帰り、そのままボスッとベッドに倒れ込んだ。

あれからも太輔さんは何事もなかったかのように、話をしながら送ってくれた。

車から下りる直後にまたねって頭をポンポンってして。

こういうベタな事に弱い私はまたドキドキする。

今日、眠れるかな、私。









次の日のお昼休み、俊くんはコーヒーを、私はカフェオレを飲んで休憩していた。

私は昨日の太輔さんの行動がやっぱりよくわからなくて、同じ男性の俊くんに相談してみた。


「ねぇ、俊くん。どうして付き合ってもない女の子とキスするの？」


するとブホッと少しコーヒーを吹き出した。

いや、きったな…漫画みたいな事するね。


「お、俺そんな事してないよ！」

「俊くんの話じゃなくて！…例えばよ」


ふーん…って言いながらニヤニヤしてるその顔がムカつく。

相談する相手を間違ったかな。


「まぁ…その子の事を好きか…ただのチャラ男かかな」


チャラ男なんて単語、太輔さんには似合わない。

だってあんなに真面目で誠実そうで…どっちかっていうと北山さんのほうがチャラい。


「北山さんならそういう事やってそう」

「きたみつ？まぁ見た目はそんな風に見えるけど、本命の女の子には真面目だよ。
どう？Aちゃん、オススメだよっ」


スーパーの安売りじゃないんだから…


「で？誰にキスされたの？」

「……お店のお客さん」

「あ、もしかしてあのイケメンの？？」

「うん…」

「うおっ、マジかっ！！」


いや、自分で言って驚かないでよ。

33→←31

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す