愛されたいのは

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レジにきたのはまたしても"きたみつ"

ああ、どうせならもう一人の優しそうな宮田さんの方がよかったよーー

お金を払い、おつりを受け取ろうと手を出したけど、なかなか渡してくれない。

なんなの！？






「名前は？」

「えっ！？」

「いやだから、名前」

「な、なんですか、急に」

「バイトの面接」

「はぁ！？」



"きたみつ"はその見た目とは裏腹に、だいぶヤバい奴かもしんない。



「さっき求人のフリーペーパー見てたじゃん？バイト探してんのかなーと思って」




この人も意外と目ざといな。

ほんの数分だけ見てすぐに閉じたのに。

パラパラとめくっただけで、いまいち本気で探す気にはなれなかった。





「林 Aです」

「そ。明日から来れる？」



待って、待って。

この人の思考回路はどうなってるんだろう。

名前だけ聞いて雇うか、普通。




「ちょっと、きたみつ！
お客さん、びっくりしてるじゃん」

私達のそのやり取りを聞いていたのか、宮田さんが止めに入ってくれた。

ああ、やっぱり優しい。

「ごめんねー、急に。
この人グイグイくるから。
怖かったよね？」

「俺を変人扱いするな、宮田」

「あ、いえ、大丈夫です…」






すると宮田さんがきちんと説明してくれた。

オープンしたてだけど、お店はそんなに広くないから、二人でやっていけるだろうと思ってたみたいなんだけど、

意外に忙しくて人手が足りない事に気付いたらしい。

いや、そんなの普通最初にちゃんと計画しとくでしょ！

なのに"きたみつ"は「人件費が1番経費かかるんだから、削るならそこだろ」とか言って。

でも結局バイト探してるし。






でも私もちょうどバイト探してたし、すぐ雇ってくれるならいいかな、なんて安易に考えてしまった。

「履歴書とか…いらないんですか？」

「あんなんで何がわかんの？」

「…いらないならいいです」

なんなのよ、もう。



とりあえず、また明日10時半に来る事になった。

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