5話 ページ7
スクリーンに柳沢カウンセラーを映したまま、教壇の「小野先生」―――――遥は説明を再開した。
「カウンセリングはこのように端末を通してもできますし、直接相談に来ていただいても構いません。通信には量子暗号を使用し、カウンセリング結果はスタンドアロンのデータバンクに保管されますので、皆さんのプライバシーが漏洩することはありません」
そう言いながら遥は、ブック型データバンクを持ち上げて見せた。
その時、隣に居た男性が遥に何か耳打ちをした。
途端、遥の顔が真っ赤にゆで上がる。
その顔の赤みは、何か大事なことを言い忘れていた、という風情だった。
「え、えっと、この方はこの1年E組に研修生として皆さんと共に学習する、鈴峰幸介さんです」
どうやら隣の男性――――――鈴峰の紹介を忘れていたらしかった。
鈴峰は少し苦笑いを浮かべ、自己紹介をした。
「はじめまして。鈴峰幸介です。研修生として頑張るので、どうぞよろしくお願いします」
「・・・本校は皆さんが充実した学生生活を送ることができるよう、全力でサポートします。・・・という訳で、皆さん、よろしくお願いしますね」
最初の短い間は、ショックから立ち直るのに要した時間だ。
遥の口調が今までと一転砕けた、柔らかなものになる。
教室内に、脱力した空気が漂った。
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光井 ほのか
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作者名:龍牙 | 作成日時:2017年6月24日 23時