. 中也side ページ7
油断をしていた訳ではなかったし、そんな事をすれば上司の鉄槌が飛んでくるのは心よりも先に体が凍てつく程理解出来ていた。
中「兄…さん……?」
目の前でその上司が倒れこむのを見るまでは
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月が雲で隠れるのとほぼ同時に無線から上司の突撃命令が下される。数十名の部下を率いて、中原中也は建物の後ろから突撃していく。無論中にはたくさんの敵。だが此方と其方では準備の時間が違う。その一瞬の遅れが、命取りだ。
中「重力操作!!!」
異能力により敵を殲滅していく。予想通りではあるが、矢張り敵の数は多い。それでもAの無駄のない作戦立案通りに事は進んでいた。どれ程時間が経っているのだろうか、それが理解出来ないくらい戦闘は激しさを増していた。すると光が差し込んだかのように、Aが待ち構えている入口が見える。
中「兄さん!悪ィ、状況は!!?」
『上出来』
ニヤリ、と妖しく笑うAに一瞬心奪われる。周りには先程よりは随分減ったが、まだ攻撃をしてくる敵は十二分にいた。一瞬の会話後『暴れてこい中也』と言われれば身体が熱くなるのは至極当然で。もしかしたら、それが原因だったのかもしれない。本来向けられる筈のない殺意が、中也に向かっている事に気付いたのは中也本人ではなかった。
『中也ァ!!!!!!』
横目で、誰かが自分の背後に回った刹那、発砲音が二回。嫌な予感を覚え、振り返ると其処には、地面にポタポタと赤黒い血を流す兄の姿。
中「兄…さん……?」
撃たれた箇所を抑えながら、ゆっくり倒れこむA。ハッと現実に無理矢理戻った中也はAを受け止める。
中「に、兄さん!!!!しっかりしろ、っおい!!!」
『っゲホ、』
内臓がやられたのだろう口端から血を流すA。抱き込むように回した手には、Aの血がべったりと付着していた。か細く放った言葉は『大丈夫か』と中也の心配。それを最後にAは意識を手放した。
ハッとその状況が漸く理解出来た部下達が、Aを囲み安全な場所へと避難させる。それを見送った中也の三白眼が、ゆらりとAを撃った者を見据える。
中「手前エエエエエエエエエエ!!!!!!!!」
任務は無事Aの作戦通り終了。1つの問題を残して。幹部、冲方Aが重体で帰還。それが太宰に伝わったのは、日付が変わってからだった。
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なに - 読みやすくて3作品夢中に読んじゃいました!すごく続きが読みたいです!一年前の作品ですがよければかいていただきたい!!! (1月1日 23時) (レス) @page34 id: 609d62ddb9 (このIDを非表示/違反報告)
三斗(トリップ願望者) - ぇ…終わっちゃったんですか・・・?続きかければ書いてください!絶対読みます‼ (2022年7月11日 22時) (レス) @page35 id: 9ad11557a3 (このIDを非表示/違反報告)
Rio - 無理はなさらずがんばってください!! (2022年3月7日 22時) (レス) @page35 id: 663ca84b4d (このIDを非表示/違反報告)
甘党 - 頑張って下さい!!更新待ってます (2022年1月22日 13時) (レス) @page35 id: 577366e2a2 (このIDを非表示/違反報告)
あの - 更新頑張って下さい!応援してます! (2022年1月7日 19時) (レス) @page35 id: 347eae7089 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まっぽ | 作成日時:2018年1月8日 23時