27話 それはまるで呪いのような ページ30
それからは一瞬だった。救急車で運ばれたが、治療虚しくシンイチローはこの世の人では無くなった。後から駆けつけたエマは、コトの状況を理解した瞬間泣き叫び、万次郎はまだ受け止められないのかずっと下を向いていた。オレは、そんな2人を静かに抱きしめることしか出来なかった。
人生初めての葬式が兄貴だなんて、誰が予測できただろうか。葬儀には驚くほどたくさんの人が参列していた。それだけでシンイチローの人柄の良さがわかる。よくバイク屋に入り浸っていたAは、元黒龍のメンバーや店の常連客が仕切りに話しかけにきてくれた。シンイチローは元不良。しかもトップにいた男だ。本当にいろんな人に愛されていたんだなと、改めて兄の存在の大きさを思い知らされる。辛かったな…と、1人の男がオレを抱きしめてきた。確か、この男は元黒龍の副総長…
「何かあったらいつでも頼ってこい」
『…ん』
「……A、辛いときは我慢せず泣け」
『……それは出来ねぇ。だって…シンイチローと約束したから』
「?約束…?」
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数日前、救急車の車内
『ッ真兄……!』
大きく揺れる車内。オレはただ赤くなった拳を膝の上で握り、ぴくりとも動かないシンイチローを見ていた。すると突然、心拍数のモニターが波を打ち始めたのだ。
『!……ッ真兄!!』
一瞬だけシンイチローは意識を戻した。そして、ゆっくりと上がる右手をオレは強く強く握った。
シ「…A……店頭に、あったバイク…あれ、マンジローに、わたしてくれ…誕生日、プレゼント…なん、だ…」
『ッんなの自分で渡せばいいだろ!』
シ「あと、さっき…なおしてた…バブは…A…オマエへの、誕プレ……オレの、お古で…ワリィ、な」
『!…オレ、バイクなんて興味ないって…』
シ「…A…マンジローを……家族を、頼む…」
『!……ッオレが、絶対守るよ』
オレの返事を聞いた後、シンイチローは満足そうな顔をして、逝った。後から医者に聞けば、あの時意識が一瞬でも戻ったのは奇跡的な事らしい。シンイチローはそれほどまでにオレたち家族の事を想い、最後にオレに伝えてくれた。
『だからオレは…絶対に何があっても家族を守らなきゃならない』
それが、まだ齢13歳の佐野Aが背負った使命。
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言霊って受け取り方によれば呪いだよなって思ってこのタイトルにしました
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比嘉槐 - なんか読んだことあるなと思ったら以前読ませて頂いた作品でした(*´∇`*)とても面白いです!これからも応援してます╰(*´︶`*)╯♡ (11月28日 15時) (レス) @page1 id: 0ffcd0578b (このIDを非表示/違反報告)
ただのバカです - お久しぶりっス!最近は来れなくてすいません!ハイキューの夢小説の方を見ていまして、東京リベンジジャーズもたまに見てるんですけど、タイトルを忘れてしまって、頑張って探したらあったので、すぐさまコメントしましたっス!続き楽しみに待ってます!! (2022年2月13日 23時) (レス) @page24 id: acf5fa610c (このIDを非表示/違反報告)
竜蘭(`・ω・´) - まっぽさん» タイトルは同じじゃないですよ!!マイキーのドッペルゲンガーです!!設定とか全然違います!!このお話は兄弟ですけど、マイキーのドッペルゲンガーというお話は兄弟じゃないんです!!うるさくてごめんなさい (2021年12月24日 7時) (レス) @page2 id: 784883b1f4 (このIDを非表示/違反報告)
まっぽ(プロフ) - 蓮さん» 蓮さんコメントありがとうございます!それって占ツクでですかね?もしタイトルにAnotherがついていて梵天軸の話だったら私の作品です💦 (2021年12月20日 0時) (レス) id: 1847723ecb (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - この作品に似たような作品が作られてますよ💦同じタイトルで内容も似ています (2021年12月19日 21時) (レス) id: 1abcf988f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まっぽ | 作成日時:2021年7月14日 3時