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記憶喪失 ページ5

≪風柱 不死川 実弥 視点≫



急いで胡蝶を呼んでくる


「Aさん!」


胡蝶も嬉しそうにAに近寄る


胡蝶を見ても何も反応しない
どこか様子がおかしい



「Aさん?」


「……あの…すみません。
どちら様ですか?」




暖かい雰囲気が一気に冷めた


胡蝶は顔をしかめ、ちらりと俺を見る

その意味を理解し、病室を出る





「不死川さん」



しばらくすると胡蝶が病室から顔を出した


決心して立ち上がりAの元へいく



「不死川さん、Aさんは記憶を失ってます。
私たちのことも、鬼殺隊のこと、もちろん鬼のことも…

こういうものは個人差もありますからいつ戻るかはわかりません。

ですが、物の名前や読み書き、日常生活も覚えてるというか染み付いているようなので、
気長に生活をしていたら何かの拍子に全て思い出すかもしれませんね」



最後のふわっとした感じ



「胡蝶、お前…姉貴に似たな」


「あら?そうですか?」



昔の張り付いた笑顔とは違う
たった1ヶ月

でも今まで経験したことのない平和な1ヶ月



「平和ボケだなァ」



でもそれは俺も同じか




「気長に生活っても、誰かが預かるんだろ?」


「ええ。不死川さんがお世話しますか?
でも無理ですよね〜、Aさんと2人っきりなんて。
Aさんが一緒になんて不死川さん我慢できずに、記憶がないAさんに、あんなこととかこんなことを無理矢理し」
「しねぇーよ!!」


「ふふふ、不死川さん顔が真っ赤ですよ〜?」


「お前っ…いい性格してるな」



「ふふっ」


「っ!A」



俺たちのやりとりを見てAが声をあげて笑う

昔と変わらない太陽みたいな笑顔



「不死川さん、顔がまた赤いですよ」


「うるせー」


「Aさん、この人は不死川さんと言います。
今日から2人(ヽヽ)で暮らすんですよー」


「変なとこ強調すんな」


「不死川さんに変なことをされたらすぐに言ってくださいね!」


「ふふ、胡蝶さん、ありがとうございます。
不死川さん、これからご迷惑をおかけするかと思いますがよろしくお願いします」


「ああ…」






″不死川さん″


その呼び方に、チクリと胸が痛む

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作者名:りん | 作成日時:2019年11月19日 22時

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