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その女の人は目に涙の膜はっとって

でも決して泣くこともなく

話し方も淡々としとって

だからこそちょっとせつないなとは思ったけど



「...俺は...」

「...俺は彼氏さんに一票」




俺がそう言うたらその人とヤスが揃って俺を見る

せんちゃんは黙って作業台に向こたまんま



「やって嫌いやって言われたわけやないし」

「ただいま言うておかえりって言われて」

「おやすみやおはようって言うんに別に結婚しとんかどうかなんて関係ないやん?」

「たかが紙切れ一枚にそんなふうにこだわってんのが理解出来ひん」

「彼氏さんは一緒におりたいって言うてくれてんねんからそれがアカンってのは我儘なんちゃうのん?」



そう言うたら

ヤスが俺の顔見たまんまアカンでって感じにゆっくり首を横に振って

その女の人は



「たかが...か」

「私は子供も出来ることなら産みたいし」

「彼に何かあった時には一番に連絡欲しいって思うんだよね」


「そっか...」

「それって我儘なのか...」



それだけで独り言のように言うた女の人は

テーブルの上の缶をまとめ出した

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作者名:UTA | 作成日時:2019年5月24日 22時

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